ティモシー・スナイダー

ティモシー・D・スナイダーは、1969年生まれのアメリカ合衆国の歴史家であり、イェール大学の教授として教鞭を執っています。彼の専門は、近代ナショナリズム史、中東欧史、そしてホロコースト研究です。

オハイオ州デイトンで生まれたスナイダーは、ブラウン大学を卒業後、オックスフォード大学で博士号を取得しました。その後、パリ、ウィーン、ワルシャワ、ハーバード大学などで研究員として活動しました。

近年では、ウクライナ情勢について積極的に発言しており、国際的な注目を集めています。外交問題評議会やアメリカ合衆国ホロコースト記念博物館など、数多くの機関でメンバーを務めています。彼は11カ国語のヨーロッパ言語（特に東ヨーロッパの言語）に精通しており、一次資料に基づいた研究を可能にしています。その成果は、『ブラックアース――ホロコーストの歴史と警告』や『ブラッドランド　ヒトラーとスターリン 大虐殺の真実』といった著書に結実しており、ドイツ側の視点に偏らない、広範かつ刺激的なホロコースト論として評価されています。

また、『赤い大公――ハプスブルク家と東欧の20世紀』や『秘密の戦争――共産主義と東欧の20世紀』といった優れた評伝も著しています。さらに、トニー・ジャットの最後の著書『20世紀を考える』では聞き手を務めました。ハンナ・アーレント賞をはじめ、受賞歴も多数あります。夫人のマーシ・ショアもイェール大学の同僚であり、東ヨーロッパ史を専門としています。

2017年1月には初めて日本を訪れ、東京大学、慶應義塾大学、聖心女子大学で講演を行いました。

彼の著作は多岐にわたり、以下のようなものがあります。

Nationalism, Marxism, and Modern Central Europe: A Biography of Kazimierz Kelles-Krauz (1998)
The Reconstruction of Nations: Poland, Ukraine, Lithuania, Belarus, 1569-1999 (2003)
Sketches from a Secret War: A Polish Artist's Mission to Liberate Soviet Ukraine (2005)（邦訳:『秘密の戦争――共産主義と東欧の20世紀』）
The Red Prince: The Secret Lives of A Habsburg Archduke (2008)（邦訳:『赤い大公――ハプスブルク家と東欧の20世紀』）
Bloodlands: Eastern Europe Between Hitler and Stalin (2010)（邦訳:『ブラッドランド――ヒトラーとスターリン 大虐殺の真実』）
Black Earth: The Holocaust as History and Warning (2015)（邦訳:『ブラックアース――ホロコーストの歴史と警告』）
On Tyranny: Twenty Lessons from the Twentieth Century (2017)（邦訳:『暴政――20世紀の歴史に学ぶ20のレッスン』）
The Road to Unfreedom: Russia, Europe, America (2018)（邦訳:『自由なき世界――フェイクデモクラシーと新たなファシズム』）
* Our Malady: Lessons in Liberty from a Hospital diary (2020)（邦訳:『アメリカの病――パンデミックが暴く自由と連帯の危機』）

また、トニー・ジャットとの共著『20世紀を考える』や、編著『Wall Around the West: State Power and Immigration Controls in Europe and North America』もあります。

スナイダーの研究は、東ヨーロッパの歴史、ナショナリズム、そしてホロコーストに対する理解を深める上で、重要な貢献をしています。彼の著作は、歴史研究者だけでなく、広く一般読者にも読まれています。

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