ティーガーデン星

ティーガーデン星 (Teegarden's star)

ティーガーデン星は、地球から12.5光年の距離に位置する赤色矮星です。その明るさは太陽の約0.07％と非常に暗く、目立たない恒星です。

概要

この星は2003年にNASAのNEATプロジェクトのデータから、Bonnard J. Teegarden氏のチームによって発見されました。大きさは太陽の約11％、質量は約9％と非常に小さく、誕生から80億年以上経過していると考えられています。特筆すべきは、フレアがほとんど観測されない静かな星であるという点です。

発見当初、ティーガーデン星は太陽系から2.4〜3.6パーセク（約7.8光年）という、非常に近い距離にあると推測されていました。もしこの距離が正しければ、太陽系から3番目に近い恒星系となるはずでした。しかし、その絶対等級は主系列星のモデルと比較して異常に暗く、特殊な天体である可能性が指摘されました。ただし、当初の年周視差測定には大きな誤差が含まれており、実際はもっと遠い星である可能性も示唆されていました。

2006年、より精密な年周視差の測定に基づき、ティーガーデン星までの距離が12.5光年であると発表されました。これにより、ティーガーデン星は低質量の赤色矮星であることが確定しました。さらに、2022年に公開されたガイア計画のデータでは、距離は12.497 ± 0.004光年と測定されています。

惑星系

2019年、ドイツのゲッティンゲン大学を中心とした国際研究チームが、ティーガーデン星の周りに2つの地球サイズの惑星が存在するという画期的な発表を行いました。この発見は、カラーアルト天文台の3.5m望遠鏡を使ったCARMENESプロジェクトの一環として、視線速度法によって行われました。

これらの惑星は、それぞれ約4.9日と約11.4日の周期でティーガーデン星を公転しており、どちらもハビタブルゾーン内に位置するとされています。特筆すべきは、多くの赤色矮星がフレアを頻繁に起こすのに対し、ティーガーデン星は非常に静かな恒星であるため、生命が存在し進化するのに適した環境である可能性があるという点です。

これらの惑星は、濃い大気を維持していると予測されており、少なくとも1つは液体の水を保持している可能性が高いと考えられています。これらの条件は、生命が存在する可能性を高める要素となりえます。

さらに、2024年には3つ目の惑星、惑星dが視線速度法によって発見されました。惑星dは、惑星bやcよりも遠い軌道を公転しており、ハビタブルゾーンの外側に位置しています。そのため、表面温度は木星やその衛星と同程度であると推定されています。

まとめ

ティーガーデン星は、その静穏さ、ハビタブルゾーン内の惑星の存在、そして地球からの距離など、多くの点で天文学的に興味深い対象です。今後の観測によって、惑星の組成や大気に関する情報がさらに明らかになり、生命存在の可能性を探る上での重要な手がかりとなるでしょう。

関連項目

近い恒星の一覧
最寄りの地球型太陽系外惑星の一覧

外部リンク

* Teegerden（英語）

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