クロテッドクリーム

クロテッドクリーム：イギリスの伝統的な濃厚クリーム

クロテッドクリーム（英語: clotted cream）は、イギリス発祥の濃厚な乳製品です。全乳を間接的に加熱し、ゆっくりと冷やすことで作られます。表面に固まってできる塊が特徴で、これが名前の由来となっています。特に、イングランド南西部のコーンウォールとデヴォンでは伝統的に作られており、その地域を代表する食品と言えるでしょう。

起源と歴史

クロテッドクリームの正確な起源は不明ですが、南西イングランドの農家が牛乳の廃棄物を減らすために作ったのが始まりとする説が有力です。コーンウォールとデヴォンが発祥の地として知られていますが、どちらが先に作り始めたかは定かではありません。

興味深い説として、『Oxford Companion to Food』には、フェニキアの商人が錫を求めてコーンウォールに来た際に、クロテッドクリームを持ち込んだ可能性が示唆されています。また、古代のブリトン人が牛乳を長持ちさせるためにクロテッドクリームにしたという説もあります。考古学的証拠としては、イギリス、フランス、アイルランドで発見された古代の貯蔵庫が、乳製品の冷蔵庫として使われていた可能性が指摘されています。

用途

クロテッドクリームは、その濃厚で独特の風味から、様々な用途で楽しまれています。

クリームティー

最もポピュラーな食べ方の一つが、クリームティーです。スコーンにイチゴジャムと一緒に塗って、紅茶と共にいただきます。特に、デヴォンでは、ジャムとクロテッドクリームを添えたクリームティーを「デヴォンシャークリームティー」と呼んでおり、特別な存在です。

地域によって、スコーンに塗る順番が異なります。デヴォンではクリームを先に塗り、その上にジャムを塗るのが伝統的なスタイルですが、コーンウォールではジャムを先に塗り、その上にクリームを重ねます。どちらのスタイルも、それぞれの地域で愛されています。

菓子

クロテッドクリームは、温かいデザートや冷たいデザートの付け合わせとしても活躍します。特にデヴォン産のものはカロテンが少なく、焼き菓子によく使われます。また、イングランド南西部ではアイスクリームやファッジの製造にも利用されています。

塩味の料理

意外かもしれませんが、クロテッドクリームは塩味の料理にも使われます。マッシュポテト、リゾット、スクランブルエッグなどに加えることで、よりコクのある味わいが楽しめます。

まとめ

クロテッドクリームは、イギリスの豊かな食文化を象徴する乳製品です。その歴史と多様な用途は、多くの人々を魅了し続けています。もしイギリスを訪れる機会があれば、ぜひ本場のクロテッドクリームを味わってみてください。

関連項目

アフタヌーンティー
カイマク
カルピス
ジャンケット
ジョッヘ（もしくは「ジュウヒ」「ズーヒー」）
醍醐
バター
マライ

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