テイラークラフトオースター

テイラークラフトオースター (Taylorcraft Auster)

テイラークラフトオースターは、第二次世界大戦においてイギリス軍および英連邦軍で運用された軽連絡機と観測機です。この航空機は、アメリカのテイラークラフト社の英国子会社であるテイラークラフト・エアロプレーンズ社で製造されました。大戦後、同社は「オースター・エアクラフト」と改名し、オースターシリーズの展開を続けました。

概要

オースターは、アメリカ合衆国で開発されたテイラークラフトモデルBを基に、イギリス軍の要求に応じて改修が行われた結果生まれました。初めてのバリエーションは、ライカミング O-145エンジンを搭載した「テイラークラフトプラスC」で、これは民間向けに開発されました。その後、イギリス軍向けの空中観測機としての適性を考慮し、出力90hpのブラックバーンシーラス・マイナーエンジンを搭載した「テイラークラフトプラスD」が生産されました。

また、既存のプラスC機体もシーラス・マイナーに改造され、「テイラークラフトプラスC2」として運用されました。これらの機体はイギリス軍のテストで有用性が確認されましたが、軍はアメリカのスチンソンが開発したL-1 ヴィジラントを100機発注しました。しかし、輸送中に多くが損傷したため、最終的にオースタープラスC2/プラスDの100機が「オースター I」として発注されるに至ります。

その後、さらに改良が進められ、ライカミング O-290エンジン（出力130hp）を搭載した「オースター II」が開発されましたが、エンジンの供給が困難だったため量産には至らず、イギリス製のデ・ハビランドジプシー・メジャーエンジンを搭載した「オースター III」が470機生産され、これがイギリス軍のAOP.3として広く運用されました。

次に、機体を大型化し、三人乗りの「オースター IV」が開発され、さらには計器飛行に対応できるように改良された「オースター V」が登場。こちらは790機が生産され、AOP.5として活躍しました。

第二次世界大戦の終息後、親会社であるテイラークラフトは需要の減少に伴い倒産しましたが、テイラークラフト・エアロプレーンズはオースター・エアクラフトとして独立。オースター Vを基にした民間向けモデル、「オースターJ/1 オートクラット」を開発し、販売にも力を入れました。

主要な形式と派生型

オースターには多くの派生型が存在しますが、以下は代表的なモデルです：

- テイラークラフトプラスC：ライカミング O-145を搭載、23機生産。
- テイラークラフトプラスD：ブラックバーンシーラス・マイナーを搭載、9機生産。
- テイラークラフトプラスC2：既製のプラスCを改造、20機が改造。
- オースター I：プラスDを基にした量産モデル、100機生産。
- オースター II：ライカミング O-290を搭載、2機のみ製造。
- オースター III：デ・ハビランドジプシー・メジャー搭載、470機生産。
- オースター IV：三座式、ライカミング O-290搭載、255機生産。
- オースター V：計器飛行可能に改良、790機生産。

運用国

オースターは多くの国で運用されました。主な運用国には以下が含まれます：

- イギリス（イギリス陸軍航空隊、イギリス空軍）
- オーストラリア（オーストラリア空軍、海軍）
- カナダ（カナダ空軍、陸軍）
- チェコスロバキア（1945年から1948年に3機）
- ギリシャ空軍
- 南アフリカ共和国空軍

要目（オースター V）

- 乗員：3名
- 全長：6.83 m
- 全幅：10.97 m
- 空虚重量：499 kg
- エンジン：1 × ライカミング O-290-3（130 hp）
- 最大速度：209 km/h

このように、テイラークラフトオースターは多様な機能と派生型を持ち、様々な軍隊で重要な役割を果たしてきました。

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