テオス (ファラオ)

テオス（Teos / Tachos）

古代エジプト第30王朝、その歴史において2番目の支配者として即位したのが、テオスまたはタコスとして知られるファラオである。エジプト語における彼の名はジェドー（Djedhor、Djedho）と伝えられている。その独立した治世は比較的短く、紀元前360年から紀元前359年頃までとされる。

テオスの父である初代ファラオ、ネクタネボ1世は、自身の治世の後半において、紀元前363年ないし紀元前362年には既にテオスを共同統治者、すなわち摂政として王権の一部を分与していた。このため、一部のエジプト学の解釈では、この共同統治の期間を含めてテオスの治世とみなす場合もある。

治世下において、テオスは新たな試みとして硬貨の導入を図った。これは「ネフェル・ヌブ（Nefer-nub）」と呼ばれる金貨であったが、この試みは最終的に成功には至らなかった。

彼の治世の最も注目すべき点は、対外的な積極策にある。テオスは、およそ2世紀前の第26王朝時代、ファラオ・アプリエス（ウアフイブラー）の治世以来となる、シリアやパレスチナといった地域へのエジプトの勢力圏拡大を計画し、実行に移した。

この軍事行動において、テオスは新王国時代の偉大なファラオ、トトメス3世による遠征を模範としたとみられる。レテヌと呼ばれる地域（現在のカナンおよび歴史的シリアに相当）における外部勢力、特にアケメネス朝ペルシア帝国に対する脅威への対処を目的としたこの攻撃は、初期段階においては成功を収めた。エジプト軍は着実に進軍し、アケメネス朝からの防衛体制を確立しつつ、フェニキアへの進出が目前に迫る勢いであった。

しかし、まさにその時、テオスは国内で発生した反乱によって突如としてその王座を追われることとなった。遠征先またはその準備中に起きたと推測されるこの反乱により、新たなファラオとしてネクタネボ2世が擁立されたのである。これにより、エジプト人ファラオが主体となってペルシアに対して対外的な攻勢に出た事例は、テオスの治世におけるこの試みが最後となった。エジプトは再び守勢に回り、最終的にはペルシアの再征服を受けることになる。

テオスの短い治世は、エジプトが独立を維持し、かつての栄光を取り戻そうと試みた最後の積極的な時期の一つとして歴史に刻まれている。

もう一度検索