紀元前359年

紀元前359年：激動の時代と新たな指導者

紀元前359年は、古代世界において複数の文明が重要な転換期を迎えた年として知られています。ローマではラエナスとインペリオススが執政官に就任しましたが、この年の出来事として広く認識されているのは、主にヨーロッパ、特に地中海世界と東アジアで起きた出来事です。

マケドニア：王位継承と外交的決断

マケドニア王国では、ペルディッカス3世王がイリュリア人との戦いで戦死するという衝撃的な出来事が起きました。王位は幼い息子、アミュンタス4世に継承されましたが、実質的な権力はペルディッカス3世の叔父にあたるピリッポス2世が摂政として握ることになります。

ピリッポス2世は、マケドニアを取り巻く複雑な情勢に対処しなければなりませんでした。イリュリアの脅威に加え、パエオニアからの侵攻、そして王位を主張する複数の勢力の台頭という複数の問題に直面していました。ピリッポス2世は、これらの脅威に対処するため、巧妙な外交戦略を用いました。アテナイにアンフィポリスを割譲することで、アテナイの協力を得て、イリュリアとパエオニアからの圧力を軽減することに成功しました。この外交的決断は、のちのマケドニアの隆盛に繋がる重要な一歩となりました。

中国：変法の提案

中国では、秦の孝公のもとで、商鞅による変法が提案されました。これは、秦国の政治・経済・軍事体制を根本的に改革しようとする、画期的な試みでした。商鞅の変法は、秦の強力な中央集権国家への道を切り開く重要な一歩となり、後の中国統一へとつながる礎を築きました。

その他の出来事

紀元前359年は、世界各地で様々な出来事が起こりました。中国では、周、秦、楚、斉、燕、趙、魏、韓といった諸侯国がそれぞれ独自の政治的・経済的な動きを見せていました。それぞれの国で、支配者の交代や内紛、隣国との紛争などが発生し、複雑で流動的な政治情勢が形成されていました。朝鮮半島でも、檀紀1975年に相当する出来事が発生していましたが、具体的な内容は不明瞭です。ベトナムでは、仏滅紀元186年という独自の紀年法が用いられていました。

人物

この年、後にマケドニア王国を大帝国へと導くアレクサンドロス3世（大王）の兄、ピリッポス3世が誕生しました。ピリッポス3世はアレクサンドロスの後継者として期待されましたが、短命に終わりました。一方、マケドニア王ペルディッカス3世は、イリュリアとの戦いで戦死しました。

まとめ

紀元前359年は、マケドニア王国の変動、秦国の変法、そして様々な国の政治的・軍事的な動きによって特徴づけられる激動の年でした。これらの出来事は、古代世界の勢力図を大きく変える重要な転換期であり、歴史の流れに大きな影響を与えたと考えられます。特に、ピリッポス2世の外交的手腕と商鞅の変法は、後の歴史に大きな影響を与えた重要な出来事と言えます。今後の研究によって、この時代の出来事がより詳細に解明されることが期待されます。

もう一度検索