テッド・タナベ

テッド・タナベ（本名：田邉 哲夫、1962年11月5日 - 2009年6月15日）は、日本のプロレス界でレフェリー、リングアナウンサーとして活躍した人物です。愛知県名古屋市出身。旧表記はテッド田辺。

経歴

プロレス界には、国際プロレスにフロントスタッフとして入社したのが始まりでした。その後、全日本プロレスを経て、1987年にジャパン女子プロレスでレフェリーとしてデビューを果たします。

1990年には、ジャパン女子でコーチを務めていたグラン浜田がユニバーサル・プロレスリングを旗揚げすると、これに参加。さらに1992年からは、ザ・グレート・サスケが旗揚げしたみちのくプロレスにメインレフェリーとして参加し、数々の試合を裁きました。みちのくプロレスと交流のあった闘龍門などの団体にも、しばしば出張レフェリーとして参加しています。

2006年1月、拠点を地元名古屋に移すため、みちのくプロレスを退団。同年、大阪プロレスに入団し、晩年は地元名古屋で学校給食の配達員として働きながら、土曜・休日に大阪で試合を裁く日々を送りました。

2009年6月14日、大阪プロレス大阪ミナミ ムーブ・オン アリーナ大会のメインイベント（「大阪タッグフェスティバル2009」公式戦）後、リングを降りた直後に倒れ、意識不明に。病院へ搬送されるも、翌6月15日に急性心筋梗塞により急逝しました。46歳という若さでした。偶然にも、その前日にはプロレスリング・ノア創設者の三沢光晴も亡くなっており、2人は同じ年齢でした。かねてから糖尿病を患っていたという情報もあります。

人物像

テッド・タナベは、数多くの団体を渡り歩き、所属団体の選手が出場する対外試合での出張レフェリングも数多く務めたことから、「多団体男」というキャッチフレーズで親しまれました。

ハードコアマッチやデスマッチから、コミカルな試合まで、スタイルを選ばない幅広いレフェリングが特徴で、「反則を見逃させたら日本一」と自負していました。重要な場面で誤爆に巻き込まれてダウンしたり、反則を見逃して選手と小競り合いを起こすシーンは、彼の名物となっていました。お笑い系の試合では選手と積極的に絡み、真面目に試合をしない選手には厳しく注意することもあったそうです。

身長が低く、太った体型を選手にいじられることもありましたが、レフェリーとしての実力は高く評価されていました。

レフェリーだけでなく、リング設営や運転手、営業など、レスラー以外のほとんどの業務を経験しており、後輩のレフェリーやフロントスタッフの指導にも熱心に取り組み、尊敬を集めていました。

1999年にデルフィンらによる大量離脱が起こると、退団会見の席で対立するサスケ（当時のリングネームはSASUKE）とデルフィンの間に入り、デルフィンらを説得したり、会見後に号泣するサスケを慰めるなど、面倒見の良い一面も見せています。

2004年には、万引き犯を捕まえたというエピソードも残っています。

表向きは引き抜きに近い形で大阪プロレスに入団した後、みちのくプロレスを批判するような言動もありましたが、その後もみちのくプロレスと大阪プロレスの関係は良好で、実際には円満な関係だったことが窺えます。

公式ブログは、亡くなる2日前の6月13日で更新が止まっていますが、死去から10年以上経過した現在でも、ファンからのコメントが絶えません。中には、TAKAみちのく（KAIENTAI DOJO）やMIKAMI（DDTプロレスリング）、獅龍といった選手からの書き込みも見られます。

テッド・タナベは、その人柄とプロレスへの情熱で、多くのファンと関係者に愛された人物でした。

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