テナガミズテング

テナガミズテング（Harpadon nehereus）の詳細

テナガミズテングは、ヒメ目エソ科に分類される海水魚で、学名を Harpadon nehereus といいます。南アジア地域では、重要な食用魚として広く利用されています。

特徴

成魚の全長は40cmほどに成長します。テナガミズテングの最大の特徴は、その長い胸鰭です。同属のミナミミズテングやミズテングと比較すると、胸鰭の長さが際立っており、これが「手長」という名前の由来となっています。

外見上の違いとして、ミナミミズテングは胸鰭が比較的短く、ミズテングはさらに短いという特徴があります。

分布と生息

テナガミズテングは、西太平洋とインド洋の熱帯海域に広く分布しています。具体的には、日本近海（南西諸島）、東シナ海を含む東アジア沿岸から、オーストラリア西岸、アフリカ東岸までの海域で見られます。

主な餌は、オキアミなどの小さな甲殻類です。

利用

テナガミズテングは、水揚げ後に非常に腐敗しやすいという性質を持っています。そのため、鮮度を保つのが難しい魚です。

食用としての利用

南アジアでは、重要な食用魚として扱われています。特に、東アジアでは長江河口沖の東シナ海砂底地域が、主要な漁獲地となっています。

肉質は白身で、加熱すると非常に柔らかくなります。この柔らかさが、さまざまな料理に使われる理由の一つです。

• - インド料理：バター揚げなどにして「Bummalo」（ベンガル語ではbamaloh）という名前で食べられます。また、独特のアンモニア臭を消すために、カレーの食材として使われることも多いです。干物としても利用されます。
• - 中国料理：広東省汕頭市や潮州市周辺では「佃魚、冇魚（潮州語 ドイフー）」と呼ばれ、天麩羅にして塩を付けて食べたり、小麦粉の生地にからめて揚げ焼き（「佃魚烙」、「𠕇魚烙」、ドイフーロッ）にして魚醤で食べるのが一般的です。スープの具材にも利用されます。身が非常に柔らかいため、「豆腐魚」という俗称もあります。香港では「九肚魚（広東語 カウトウユー）」と呼ばれ、潮州料理店などで提供されています。
• - 台湾：ミズテングとの混称で「那篙魚」と呼ばれており、天麩羅やスープとして食べられています。上海市周辺でも消費されています。

食用以外の利用

鮮度を保つのが難しいため、中国ではホルムアルデヒド溶液を保存料として使用した事例が過去に問題となりました。

宗教上の伝説

ヒンドゥー教の叙事詩には、テナガミズテングがラーマを助けなかった唯一の魚であるという伝説があります。その結果、骨なしにされたとされています。

参考文献

• - Fishbase - Harpadon nehereus（英語）

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