テルマイコス湾

テルマイコス湾は、エーゲ海に面した湾であり、ギリシャ北部の重要な地理的特徴となっています。具体的には、テッサロニキ県の南、ピエリア県とイマティア県の東、そしてハルキディキ県の西に位置しています。この湾の名前は、北東岸に位置していた古代のテルマという町（現在のテッサロニキ）に由来しています。

湾の形状は、南北に約100km、東西に約5kmと細長い形状をしています。北部の最北端からメガロ・エンボーロ岬までの距離は約15kmと推定され、そこからさらに南に約50km広がっています。湾の南東端にはカッサンドラ岬があります。古代ローマ時代には、この湾はテルマイクス湾（テルマの湾）またはマケドニクス湾（マケドニアの湾）として知られていました。現代では、テッサロニキにちなんでサロニカ湾とも呼ばれています。

湾沿いには、サニ、カッサンドレイア、古代ポティダイア、ネア・ムダニア、アギア・トリアダ、ネオイ・エピバテス、ペライア、カロホリ、メトニ、ピュドナ、パラリア・カテリニス、オリュンピアキ・アクティなど、多くの町が点在しています。これらの町は、それぞれが独自の歴史と文化を持ち、観光地としても人気があります。湾には、ピニオス川、アリアクモン川、ルディアス川、ガリコス川、アクシオス川など、多くの河川が流入しています。これらの河川は、湾の生態系を支える重要な役割を果たしています。

歴史的に見ると、テルマイコス湾は現在よりも大きかったことがわかっています。湾岸に位置していたペラなどの古代都市は、現在では数キロメートル内陸で発見されています。これは、沖積層から削られた大量の泥土が、主に北部と西部で堆積したためと考えられます。この堆積作用は、湾の形状を変化させ、現在の海岸線を作り出しました。現在、サニ・ビーチなど、有名で美しいビーチが湾岸にはありますが、メトネからテッサロニキ西方のカロホリにかけての北西岸は湿地帯であるため、ビーチは存在しません。

テルマイコス湾は、交通の要所としても重要です。湾内最大の港であるテッサロニキ港は、ギリシャ北部における主要な貿易拠点であり、その他にも12の小規模な港があります。西岸にはA1/E75高速道路が、東岸にはA25が通っており、ギリシャ北部を繋ぐ主要な幹線道路となっています。これらの道路は、湾沿いの町々へのアクセスを容易にし、物流と人々の移動を支えています。テルマイコス湾は、美しい景観、歴史的な背景、そして交通の要所としての役割を兼ね備えた、ギリシャ北部の重要なエリアです。

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