テレビで仕返し

ルーニー・テューンズ：テレビで仕返し

1956年、ワーナー・ブラザースが制作したルーニー・テューンズの短編アニメーション、『テレビで仕返し』（原題:Wideo Wabbit）は、視聴者を笑いの渦に巻き込む、ドタバタコメディ作品です。本作品は、陽気なウサギ、バッグス・バニーの知略と、憎めないハンター、エルマー・ファッドのコミカルな追いかけっこを中心に展開されます。

物語は、バッグス・バニーが新聞広告で「テレビ番組出演者を募集」という記事を見つけることから始まります。これは、彼の才能を世に示す絶好の機会だと考えたバッグスは、意気揚々とテレビ局へと向かいます。しかし、待ち受けていたのは、エルマー・ファッドが仕組んだ罠でした。

テレビ局に到着したバッグスは、プロデューサーの指示で、梯子の頂上に設置されたクッションに座らされます。「君がてっぺんからスタートだ」という言葉は、甘い罠の始まりに過ぎませんでした。実はそのクッションには、1万ボルトもの電流が流されていたのです。この出演募集広告は、エルマーが司会を務める生放送番組、『ハンティング・アワー』の素材を集めるための策略だったのです。

罠にはまったバッグスでしたが、持ち前の機転と素早い身のこなしで、エルマーの銃撃から辛くも逃れます。その後、彼はテレビ局内の様々な番組セットを駆け巡り、状況に応じて巧妙な変装を駆使してエルマーを出し抜いていきます。

特に印象的なのは、グルーチョ・マルクスに扮したバッグスが、クイズ番組のセットでエルマーを窮地に陥れる場面です。このシーンでは、マルクスが司会を務めていたクイズ番組を彷彿とさせる、ユーモラスなやり取りが繰り広げられます。ただし、このシーンは一部の放送ではカットされているようです。

『テレビで仕返し』は、単なる追いかけっこだけでなく、テレビ局という舞台を巧みに利用し、様々な番組のパロディやギャグを織り交ぜた、高度な構成が魅力です。バッグス・バニーの知性とユーモア、そしてエルマー・ファッドのコミカルな不運が絶妙に絡み合い、テンポの良い展開で観る者を飽きさせません。

興味深いことに、本作品で描かれたテレビ局「QTテレビ局」は、3年後の作品『バニーな人々』にも登場し、一部のネタが踏襲されています。これは、ルーニー・テューンズ作品における世界観の一貫性を感じさせる要素と言えるでしょう。

『テレビで仕返し』は、古典的なアニメーションの技術と、時代を超越したユーモアが融合した傑作です。バッグス・バニーのキャラクター性を際立たせ、エルマー・ファッドとの対決をコミカルに描くことで、世代を超えて愛される作品となっています。監督のロバート・マッキンソンを始め、数々の才能あるスタッフによって生み出された、まさに珠玉の短編アニメーションと言えるでしょう。

監督：ロバート・マッキンソン
製作総指揮：エドワード・セルツァー
アニメーション製作・原画：ジョージ・グランプリ、テッド・ボニックセン、キース・ダーリン、ラッス・ダイソン
音楽監督：カール・スターリング
キャスト：メル・ブランク
脚本：テッド・ピアールス
レイアウト：ロバート・グリブブローク
背景画：リチャード・H・トーマス
フィルム製作：トレッグ・ブラウン

本作品は、ルーニー・テューンズ、ワーナー・ブラザース、そして生放送というキーワードと深く関わっています。これらが、作品全体の雰囲気やユーモアを形作っていると言えるでしょう。

もう一度検索