テンサス郡 (ルイジアナ州)

ルイジアナ州テンサス郡の歴史と現状

テンサス郡は、ルイジアナ州北部に位置する郡で、その歴史は先住民の時代から現代まで、多様な側面を持っています。郡の名前は、かつてこの地域に住んでいたテンサス族またはタエンサ族インディアンに由来します。2010年の国勢調査では、人口が5,252人と、州内で最も人口の少ない郡となっています。

先史時代

テンサス郡の地域には、ヨーロッパ人の入植以前から多くのインディアン部族が住んでいました。彼らが残した集落やマウンドは、現在では重要な考古学的遺跡となっています。特に有名なのがフラワリ・マウンドで、これはセントジョセフの東に位置する台形状のマウンドです。このマウンドは、コールズクリーク時代の996年から1162年の間に使用され、その後プラークミン文化からミシシッピ文化の時代（1200年から1541年）にかけて、貝塚の上に建設されました。

他にもバルモラル・マウンズ、ゴーストサイト・マウンズ、サンダウン・マウンズなど、多くのマウンドが確認されています。

南北戦争

南北戦争中、テンサス郡は綿花生産の中心地でした。農園主たちは自ら中隊を組織し、武装させ、輸送手段を提供しました。A・C・ワトソンという農園主は、4万ドル以上を投じて砲兵中隊を組織しました。1862年、ニューオーリンズ陥落後、州知事は北軍の手に渡らないように、地域の綿花を焼却するよう命じました。この結果、テンサス郡では、堤防やインディアンマウンドの上で、大量の綿花が焼却されました。

ニューエルトン近郊には、ウィンタークォーターズ・プランテーションの修復地があります。ここは、1862年から1863年にかけて、北軍のユリシーズ・グラント将軍が部隊を率いて冬季宿営地とした場所です。グラントは、ここから1863年春夏のヴィックスバーグ作戦を展開しました。

1864年には、ジョセフ・C・リー大尉率いる南軍のゲリラ部隊がテンサス郡に侵入し、アルフレッド・W・エラー大佐指揮下の北軍部隊と交戦しました。リー隊は北軍に大きな損害を与え、ミシシッピ川へ追いやり、船で逃亡させました。また、北軍の倉庫から火薬、食料、医薬品などを押収しました。

フランクリン・プランテーションは、南北戦争前の最も美しい家屋とされ、ミズーリ州の南軍支持者からは「世界の同じ規模のものに、美しさや豊かさで負けない」と評されていました。しかし、1863年、ウィリアム・シャーマン将軍の部隊がこの地域を通過する際に、兵士たちによって略奪され、放火されてしまいました。

南北戦争後、テンサス郡を含むルイジアナ州北東部では、アフリカ系アメリカ人の子供たちのために学校が設立されました。これらの学校は、アメリカン・ミッショナリー・アソシエーションなどの支援を受け、読み書きや宗教教育が行われました。

人種問題

1964年1月まで、テンサス郡ではアフリカ系アメリカ人の有権者登録が認められていませんでした。郡は、アフリカ系アメリカ人の投票権を認めた州内最後の郡となりました。しかし、1965年の投票権法成立後、多くのアフリカ系アメリカ人が有権者登録を開始し、民主党の支持基盤となりました。

1970年代まで、テンサス郡の学校は「事実上」人種隔離されたままでした。白人の生徒の多くは私立学校に通い、アフリカ系アメリカ人の生徒は公立学校に通うという状況が続きました。現在、公立学校の生徒数は減少しており、いくつかの学校が閉鎖されています。

政治

テンサス郡は、かつては民主党の強い地盤でしたが、近年では共和党の支持も増えています。2008年の大統領選挙では、バラク・オバマが勝利しましたが、2007年の州知事選挙では共和党候補が郡内で1位となりました。2004年の上院議員選挙では、共和党候補が1位を獲得しました。

人口の減少

テンサス郡は、ルイジアナ州内で最も人口減少が深刻な郡の一つです。2000年から2010年の10年間で20％以上の人口が減少しました。主な原因は、若者がより多くの仕事の機会がある都会へ移住していること、高齢者の死亡率が高いことなどが挙げられます。

地理

テンサス郡の面積は641平方マイルで、そのうち約6％が水域です。郡内には、ニューエルトン、セントジョセフ、ウォータープルーフの3つの町があります。セントジョセフは郡庁所在地で、ミシシッピ川の堤防に隣接しています。

主要な道路

- アメリカ国道65号線
- ルイジアナ州道4号線

隣接する郡

- 北: マディソン郡
- 北東: ウォーレン郡（ミシシッピ州）
- 東: クレイボーン郡（ミシシッピ州）、ジェファーソン郡（ミシシッピ州）
- 南東: アダムズ郡（ミシシッピ州）
- 南: コンコルディア郡
- 南西: カタホウラ郡
- 西: フランクリン郡

国立保護地域

テンサス川国立野生生物保護区の一部が郡内に含まれています。

主要都市と町

- ニューエルトン
- セントジョセフ (郡庁所在地)
- ウォータープルーフ

教育

テンサス郡の公立学校は、テンサス郡教育委員会によって運営されています。

著名な出身者

クレア・リー・シェンノート：アメリカ合衆国義勇軍部隊「フライング・タイガース」を指揮した元アメリカ陸軍パイロット。

メディア

セントジョセフでは、週刊紙「テンサス・ガゼット」が発行されています。

まとめ

テンサス郡は、その歴史と文化において多くの魅力を持っていますが、人口減少や教育問題など、現代的な課題にも直面しています。これらの課題に対処しながら、テンサス郡が今後どのように発展していくのか、注目されます。

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