ディエゴ・コロン

ディエゴ・コロン（スペイン語: Diego Colón y Moniz Perestrello, ポルトガル語: Diogo Colombo）は、大航海時代の探検家クリストファー・コロンブスとその妻フィリーパ・モニス・ペレストレーロの間に生まれた長男です。生年については1474年とする説と、ポルトガルのポルト・サント島で1479年または1480年に生まれたとする説があります。彼は父の跡を継ぎ、第2代インディアス提督、第2代インディアス副王、そして第3代インディアス総督といった重要な役職を歴任しました。ディエゴは1526年2月23日または26日に、スペインのラ・プエブラ・デ・モンタルバンでその生涯を終えました。

生涯と活動

ディエゴ・コロンの成人後の人生は、そのほとんどが父クリストファー・コロンブスが新大陸発見の功績によってスペイン王室から与えられ、後に1500年に剥奪された様々な称号や特権を取り戻すための訴訟と交渉に捧げられました。この目的を追求する上で、彼はアラゴン国王フェルナンド2世の従兄弟にあたる第2代アルバ公爵ファドリケ・アルバレス・デ・トレドの姪、マリア・デ・トレド・イ・ロハスと結婚しました。この結婚は、彼の宮廷における地位を強化し、特権回復への試みに大きな助けとなりました。

ディエゴは父が最初の航海に出た1492年、スペイン宮廷の小姓（ペイジ）として仕え始めました。母を早くに亡くしましたが、父の後妻となった愛妾ベアトリス・エンリケス・デ・アラーナとの間には良好な関係を維持し、彼女との間に生まれた異母弟エルナンドとも親しくしていました。

1509年、ディエゴはかつて父が務めたインディアス総督の地位に任命され、新大陸へ赴任します。彼は現在のドミニカ共和国の首都サントドミンゴに、現在も歴史的建造物として残る豪華な邸宅「エル・アルカサル・デ・コロン」を建設しました。1511年5月にはインディアス副王に昇進し、1518年までその地位に留まりました。総督および副王として統治を行った期間、ディエゴはイスパニョーラ島を拠点としながら、キューバ、ジャマイカ、プエルトリコといった周辺の島々へ積極的に軍事遠征を展開し、スペインの支配領域を拡大しました。しかし、彼は新大陸における自身の権力を脅かそうとする様々な勢力と常に闘い続けなければなりませんでした。また、失われた父の特権の回復についても諦めることなく、1515年と1523年には国王に直接訴えましたが、生前にその要求が完全に認められることはありませんでした。

ディエゴの死後、彼が果たせなかった特権回復は、1536年に息子ルイス・コロン・デ・トレドとの間で結ばれた妥協によって決着を見ます。ルイスはインディアス提督の称号を認められる代わりに、その他の権利要求を放棄しました。その代償として、年額1万ダカットの永代収入、ジャマイカ島の領主としての支配権、そして当時のベラグア地方（現在のパナマ地峡の一部）における広大な領地とベラグア公爵の称号、加えてハマイカ侯爵、ラ・ベガ公爵の称号を獲得しました。しかし、ルイスの死後、新世界におけるこれらの地代徴収権、役職、称号の継承は、彼の子孫たちの間で激しい争いを引き起こすことになりました。

結婚と子女

ディエゴ・コロンはマリア・デ・トレド・イ・ロハス（1490年頃生 - 1549年没）と結婚しました。マリアの父は初代ビリョリア卿フェルナンド・アルバレス・デ・トレド、祖父は初代アルバ公爵ガルシア・アルバレス・デ・トレドでした。マリアは夫ディエゴの死後、1542年に義父クリストファー・コロンブスの遺骸をスペインのセビリアからサントドミンゴへ移送し改葬するという重要な役割を果たしました。ディエゴとマリアの間には、以下の子どもたちが生まれました。

マリア・コロン・デ・トレド（1510年頃生 - 没年不明） - 初代グアダレスト侯爵サンチョ・フォルチ・デ・カルドナに嫁ぎました。
ルイス・コロン・デ・トレド - 最初にベラグア公爵に叙せられ、父の死後の特権継承に関する妥協を成立させました。
クリストバル・コロン・デ・トレド（1510年頃生 - 1571年没） - 複数回結婚し、子をもうけました。
ディエゴ・コロン・デ・トレド - 第4代インディアス提督となりました。
フランシスカ・コロン・デ・トレド・イ・プラビア（1550年頃生 - 1616年没） - ディエゴ・デ・オルテゴンと結婚し、その子孫は後にディエゴ・コロンの権利や称号を継承する争いに関わることになります。現代のベラグア公爵やコロンブス家の子孫とされる人々の中には、フランシスカの血を引く者がいます。
マリア・コロン・デ・トレド・イ・グスマン（1550年頃生 - 没年不明） - ルイス・デ・アビラと結婚し、息子クリストバルをもうけましたが、その息子は結婚せず子孫を残しませんでした。
フアナ・コロン・デ・トレド（生年不明 - 1592年頃没） - 従兄弟ルイス・デ・ラ・クエバ・イ・トレドと結婚し、娘マリアをもうけましたが、娘はベラグア公爵位を要求するも果たせずヌエバ・エスパーニャで亡くなりました。
イサベル・コロン・デ・トレド（1515年頃生 - 没年不明） - 初代ヘルベス伯爵ドン・ホルヘ・アルベルト・デ・ポルトガル・イ・メロの2番目の妻となりました。彼女の子孫もまた、ディエゴ・コロンの権利や称号の継承争いに関与しました。

ディエゴ・コロンの生涯は、父の偉大な功績の陰で、その遺産である称号と特権の回復、そして新世界におけるスペイン王室の権力と自身の地位を守るための絶え間ない闘いの中にありました。彼の死後も、その子孫たちは父や祖父が築いた財産と名誉を巡る複雑な歴史を紡いでいくことになります。

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