ディキシーステークス

ディキシーステークス：アメリカ競馬史に刻まれた伝統の競走

ディキシーステークスは、アメリカ合衆国メリーランド州ボルチモア郊外にあるピムリコ競馬場で開催されるサラブレッド競馬の競走です。1870年、ピムリコ競馬場開設と同時に創設された歴史あるレースであり、現在も開催されているグレード競走としてはアメリカ国内で8番目に古い歴史を誇ります。

誕生秘話と初代優勝馬

当初は「ディナーパーティーステークス」という名称でした。これは、1869年にサラトガで開催されたメリーランド州知事オーデン・ボウイ主催のディナーパーティーに由来します。このパーティーでピムリコ競馬場の建設構想が話し合われたことから、その記念として命名されたのです。そして、記念すべき第1回競走を制したのは、のちにプリークネスステークスの名称の由来となる名馬、プリークネスでした。

激動の歴史：休止と復活、距離と馬場の変更

ディキシーステークスは、その歴史において幾度かの休止を経験しています。1888年頃からしばらく開催されず、一時期はローレル競馬場で代替開催される「ディキシーハンデキャップ」として行われたこともありました。しかし、1924年にメリーランドジョッキークラブのウィリアム・P・リッグスによってピムリコ競馬場で復活。以来、現在まで途切れることなく開催されています。

競走条件も幾度となく変更されました。当初は16ハロン（約3219メートル）の長距離競走でしたが、その後、距離は12ハロン、11ハロン、10ハロン、9.5ハロンと変更され、現在は芝9ハロン（約1811メートル）で行われています。馬場も、当初はダートでしたが、現在は芝コースとなっています。

東海岸競馬の主要競走として

かつては東海岸競馬の主要競走の一つとして、高い権威を誇っていました。ハノーヴァーやアソールトといった、競馬史に名を刻んだ名馬たちがこのレースに出走した記録が残っています。近年は権威がやや低下したものの、現在もG2競走の地位を維持し、伝統と格式を保ち続けています。

記録ずくめの1965年

1965年には、登録馬の多さから、分割競走として行われました。この時の第1競走でオレアルジェンがピムリコ競馬場のコースレコードを更新したのですが、直後の第2競走でフラッグがその記録を上回るタイムで優勝するという、珍しい出来事が起こりました。同日にコースレコードが2度も更新されたのです。

名称変更と近年の状況

2021年には、創設時の名称である「ディナーパーティーステークス」に戻されました。近年は、G2、G3と格付けの変動もありましたが、歴史と伝統を継承する重要なレースとして、現在も多くのファンを魅了し続けています。数々の名馬が栄光を掴んできたディキシーステークスは、これからもアメリカ競馬史にその名を刻み続けるでしょう。

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