ディサイプルス

ディサイプルス（Disciples of Christ）について

ディサイプルス（Disciples of Christ）は、アメリカ合衆国で起こった第二次大覚醒の影響の下に形成されたプロテスタントの宗派であり、一般にはディサイプルス派とも称されます。この運動は、特に聖書の教えへの回帰を強調する点が特徴で、その起源は19世紀初頭にさかのぼります。

歴史的背景

ディサイプルスの運動は、1807年、スコットランド系アイルランド人で、長老派教会の牧師であったトマス・キャンベルがアメリカのケンタッキー州に移住したことに始まります。彼は、アイルランドにおいて長老派教会が他教派の信者に聖餐式を施すことを禁止する規則を設け、その遵守をアメリカでも求める姿勢に反対しました。この反発が運動の原点となりました。

キャンベルは、「聖書が語ることを私たちは語り、聖書が黙することでは私たちも黙する」という理念のもと、1809年にワシントン・クリスチャン協会を設立。彼の宣言には、「何人も、弟兄から裁かれることはできず、自らを神の前に弁明する責任がある」との思想が込められており、これは教会のあり方に新たな視点をもたらしました。

複数の教派との関係

1811年、キャンベルは息子のアレグザンダーと共に、ブラッシュラン教会を設立します。この教会では、牧師と信徒の区別がなく、教会の運営が信者によって行われることが特徴でした。また、1800年代初頭に存在したバプテスト教会との協力関係も築きましたが、信仰告白に対する意見の違いから、1824年にはその関係を解消し、マホニング・バプテスト連合と新たに連携しました。

その後、クリスチャン・チャーチとの合同によりディサイプルスはさらに発展。これにより、信徒同士の一致を目指す運動、いわゆる「聖書復帰運動」が盛り上がり、アメリカ中西部においても着実に信者を増やしました。特に1849年からはアパラチア山脈を越えて、西部開拓民へも伝道を広げていきました。しかし、19世紀末から20世紀初頭にかけての自由主義神学論争の影響で、ディサイプルス派とチャーチ・オブ・クライスト派に分かれ、その後さらにディサイプルス派とクリスチャン・チャーチ派とに分裂しました。

現在のディサイプルス派

現在、ディサイプルス派は約130万人の信徒をアメリカに持ち、全世界で約200万人と推定されています。また、大統領を数名輩出しており、その影響力の大きさを物語っています。彼らは、聖書を信仰の唯一の基盤とし、キリストの再臨を強調しています。また、毎週の聖餐式や信徒の洗礼を重視し、多様なキリスト教団体の中でも独特の教義を持っています。

日本における宣教活動

1888年には、初めての宣教師が日本に派遣され、秋田県を中心に伝道活動を開始しました。日本での活動は、基督教会と称され、後に東京への拡大も見せましたが、1941年には日本基督教団に統合され、結果的にディサイプルス派としての活動は消滅しました。

さらに一方で、ディサイプルス派から分かれた団体も日本で活動しており、過去の信仰の流れを汲むものとして位置づけられていますが、その一部には異論も寄せられているのが現状です。このように、ディサイプルスはその歴史を通じて、様々な変遷を経て現在に至っています。

結論

ディサイプルスは、歴史的にも信仰の意義においても重要な役割を果たしてきました。その教義や運動は、今後もキリスト教界における一つの流れとして注目されることでしょう。

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