ディストーテッドヒューマー

ディストーテッドヒューマー：競走馬からリーディングサイアーへ至る輝かしい生涯

ディストーテッドヒューマー(Distorted Humor)は、1993年生まれのアメリカ合衆国産サラブレッドの競走馬、そして種牡馬として名を馳せた名馬です。グレード競走4勝という華々しい競走馬としてのキャリアに加え、種牡馬としてはケンタッキーダービー優勝馬やブリーダーズカップ・クラシック優勝馬を輩出するなど、その繁殖能力も高く評価されています。2007年にはアメリカでリーディングサイアーに輝き、競走馬と種牡馬の両面で大きな成功を収めた稀有な存在と言えるでしょう。

競走馬時代：短距離からマイル路線で活躍

1990年のエイコーンステークスで2着に入ったダンジグズビューティを母に持つディストーテッドヒューマーは、1996年2月、ガルフストリームパーク競馬場でデビューしました。デビュー戦となる未勝利戦を勝利で飾ると、以後短距離からマイル路線を中心に活躍。デビュー当初はフィル・グレイヴスが調教師を務めていましたが、プレストンウッドファームが所有権を獲得したことに伴い、エリオット・ウォルデンに調教師が変更となりました。

3歳時にはスクリーンキングステークス（現アムステルダムステークス）を制覇。4歳ではサルバトールマイルハンデキャップ (G3) で初の重賞勝利を挙げ、5歳時にはコモンウェルスブリーダーズカップハンデキャップ (G2)、チャーチルダウンズステークス (G2)、アックアックハンデキャップ (G3) と重賞3勝を挙げ、その実力を遺憾なく発揮しました。G1競走にも挑戦し、シガーマイルハンデキャップで3着と好成績を残しましたが、G1制覇には届きませんでした。

競走馬としての通算成績は23戦8勝、2着5回、3着3回。獲得賞金は769,964ドルでした。

種牡馬時代：ケンタッキーダービー馬など名馬を輩出

1999年、競走馬を引退したディストーテッドヒューマーは、オーストラリアのグランドロッジスタッドで種牡馬としてのキャリアをスタートさせました。種付け料は12,000ドルに設定され、2シーズン活動した後、アメリカへと再輸出されました。オーストラリアでの産駒はわずか2世代でしたが、93頭の産駒のうち74頭が勝利を挙げるという驚異的な成績を残しました。

主なオーストラリア時代の産駒には、リンキーディンク（サウスオーストラリアンオークス、タスマニアンオークス優勝）や、香港で活躍したハロープリティなどがいます。また、障害競走でも活躍馬を輩出しており、サムアーベントは2シーズン連続でオーストラリア最優秀障害馬に選出されました。

2002年、アメリカで最初の産駒がデビュー。スピナウェイステークスを制したオーサムヒューマーの活躍もあり、ディストーテッドヒューマーはその年の新種牡馬リーディングサイアーに輝きました。

ディストーテッドヒューマーの代表産駒と言えるのが、ファニーサイドです。2003年のケンタッキーダービーとプリークネスステークスを制覇し、二冠を達成したファニーサイドの活躍は、ディストーテッドヒューマーの評判を大きく高めました。

種付け料は年々高騰し、2008年には30万ドルと、エーピーインディやストームキャットといった超高額種牡馬とほぼ同額にまで上り詰めました。しかし、2009年には15万ドルへと価格が下落しました。

その後も毎年多くの活躍馬を輩出し、2005年にはリーディングサイアーランキングで2位にランクイン。2007年には、ドロッセルマイヤーがベルモントステークスとブリーダーズカップ・クラシックを制したことにより、ついにリーディングサイアーの栄冠を獲得しました。

ディストーテッドヒューマーの産駒は世界各国で活躍しており、フラワーアレイ（トラヴァーズステークス優勝）は、種牡馬としてケンタッキーダービー・プリークネスステークス二冠馬アイルハヴアナザー、日本のGI競走4勝馬ラッキーライラックといった名馬を輩出しました。

2021年、ディストーテッドヒューマーは種牡馬を引退。以降はウインスターファームで功労馬として繋養されています。

まとめ

ディストーテッドヒューマーは、競走馬としての才能と、優れた遺伝子による種牡馬としての成功、両面で大きな足跡を残したサラブレッドです。その功績は、彼が産み出した数々の名馬、そしてリーディングサイアー獲得という栄誉によって、永遠に語り継がれるでしょう。彼の血統は、現在も世界中の競馬界に影響を与え続けています。

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