アイルハヴアナザー

アイルハヴアナザー：ケンタッキーダービー制覇から種牡馬としての成功まで

アイルハヴアナザー (I'll Have Another) は、2009年4月1日生まれのアメリカンサラブレッド競走馬である。2012年、サンタアニタダービー、ケンタッキーダービー、プリークネスステークスと三冠レースのうち2冠を制覇したことで知られる名馬だ。

競走馬としてデビューする以前、アイルハヴアナザーはセリ市で取引された。2010年のキーンランド協会セプテンバーイヤリングセールでは11,000米ドル、翌2011年のオカラ・ブリーダーズ・セール社スプリングセール2歳トレーニングでは35,000米ドルで落札された。

2歳時は期待通りには走れず、ホープフルステークスでは6着に敗れるなど苦戦を強いられた。しかし、3歳を迎えると一変。G2ロバート.B.ルイスステークスで快勝し、続くサンタアニタダービーも制覇。勢いに乗ってケンタッキーダービーへと進出した。

ケンタッキーダービーでは、1番人気のボーディマイスターがレースをリードする展開となった。アイルハヴアナザーは中団に位置を取り、最後の直線で猛追。残り100メートルでボーディマイスターを交わし、1と1/2馬身差をつけて見事優勝を飾った。

続くプリークネスステークスでも、アイルハヴアナザーはボーディマイスターと激しく競り合った。再び最後の直線で競り合いとなり、ゴール直前で僅差ながら勝利。ビッグブラウン以来となる二冠を達成した。

その後、アイルハヴアナザーはベルモントステークスでクラシック三冠制覇を目指す予定だったが、左前脚の軽微な浅屈腱炎を発症したため、レース前日に出走取消、そして引退を余儀なくされた。これは、アファームド以来34年ぶりの出来事だった。

引退後、アイルハヴアナザーはビッグレッドファームに購入され、2013年から日本で種牡馬として活躍することになった。2014年には初年度産駒が誕生し、2016年には産駒がデビュー。数々の活躍馬を輩出し、その成功は長く続いた。

アイルハヴアナザーの産駒の中には、グレード制重賞レースで優勝した馬が多数いる。代表的な産駒として、アナザートゥルース（アンタレスステークス、ダイオライト記念など）、ウインマーベル（葵ステークス、阪神カップ、阪急杯、京王杯スプリングカップなど）などが挙げられる。地方競馬でも多くの活躍馬を輩出している。

2018年の種付けシーズン終了後、アイルハヴアナザーはアメリカ合衆国に帰国。2023年の種牡馬シーズンを最後にその役目を終え、功労馬としてオールドフレンズに寄贈された。

競走馬としてだけでなく、種牡馬としても大きな成功を収めたアイルハヴアナザー。その短いながらも華々しい競走生活と、長く続いた種牡馬としての功績は、競馬史に名を残す偉業と言えるだろう。その血統は、今後も日本の競馬界に貢献し続けるに違いない。

アイルハヴアナザーの近親には、半妹Gloria Sの産駒にHarvey's Lil Goil（クイーンエリザベス2世チャレンジカップステークス優勝馬）がいる。

参考情報：netkeiba、JBISサーチ、Racing Post

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