ディック&ジェーン 復讐は最高!

『ディック&ジェーン 復讐は最高!』は、2005年に公開されたアメリカ映画です。1977年の映画『おかしな泥棒 ディック&ジェーン』をリメイクした作品で、現代社会の闇をユーモラスに描いた痛快コメディとして知られています。

主人公は、IT企業グローバーダイン社で働くエリートサラリーマン、ディック・ハーバー。彼は美しい妻ジェーン、そして愛する息子ビルと、理想的な家庭生活を送っていました。順風満帆な日々を送っていたディックは、広報部長に昇進し、経済番組への出演という栄誉にも恵まれます。しかし、この番組出演が、彼の人生を大きく変える転機となります。

番組内で、グローバーダイン社のCEO、マカリスターによる自社株の不正売却と、長年に渡る粉飾決算が明るみに出ます。グローバーダイン社は倒産し、ディックは失業という憂き目に遭います。再就職活動も思うようにいかず、生活費の逼迫に追い込まれたディックは、遂に自暴自棄になり、強盗という違法行為に手を染める計画を立て始めます。

この映画は、2000年代初頭にアメリカを揺るがしたエンロン事件を彷彿とさせるストーリー展開が特徴です。実際、エンロン事件をはじめ、ワールドコム、タイコ、アデルフィア、イムクローン、アーサー・アンダーセンといった企業の不正会計や倒産劇が、本作の背景に深く関わっています。スタッフロールでは、これらの企業のCEOの名前が最初に表示される演出も、この点を強調しています。

ディックを演じるのは、コメディ俳優として世界的に有名なジム・キャリー。コミカルな演技で、窮地に陥ったサラリーマンの苦悩と、大胆な計画を実行に移す過程を、絶妙なバランスで表現しています。ジェーン役には、ティア・レオーニ。ディックを支え、共に困難に立ち向かう妻を好演しています。二人の息の合った掛け合いにも注目です。また、マカリスター役のアレック・ボールドウィンなど、実力派俳優陣の演技も見どころの一つです。

映画の舞台となるマカリスターの自宅は、カリフォルニア州マリブにある高級住宅地、マルホランド・ハイウェイの「the Henman House」を使用しています。この豪邸の豪華な内装や、周囲の景観も、映画に華やかさを添えています。

サウンドトラックにも注目です。R・ケリー、シャーデー、サブライム、ダルードなど、様々なアーティストの楽曲が使用されており、映画の雰囲気を盛り上げています。劇中のシーンと音楽のマッチングも巧みで、より作品の世界観に没頭できるようになっています。

『ディック&ジェーン 復讐は最高!』は、社会問題を巧みに織り込みながらも、笑いとスリルに満ちたエンターテイメント作品です。ジム・キャリーとティア・レオーニの絶妙なコンビネーション、そして社会風刺的な要素が融合した、忘れられない映画体験を提供してくれるでしょう。エンロン事件を想起させるストーリー展開は、現代社会の問題を考えるきっかけを与えてくれると共に、痛快な展開で観客を魅了します。

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