ディファレンシャルGPS

ディファレンシャルGPS（DGPS）とは

ディファレンシャルGPS（Differential Global Positioning System: DGPS）は、全地球航法衛星システム（GNSS）から得られる位置情報の精度を補完・強化する技術です。特にGPSを対象としたDGPSは、単独のGPSが持つ15メートル程度の誤差を、1～3センチメートル程度にまで大幅に縮小できます。

DGPSの仕組み

DGPSは、固定された位置にある地上基準局のネットワークによって構成されています。各基準局は、正確な既知の位置と、衛星から取得した位置情報との差を計算します。この誤差情報は、基準局からローカルにブロードキャストされます。通常は短距離の地上送信機が利用されます。

移動する受信機（モバイル受信機）は、この補正情報を受信し、自身の位置情報を補正することで、高精度な位置情報を得ることができます。この仕組みによって、DGPSは高精度な測位を可能にしています。

各国のDGPS運用状況

アメリカ沿岸警備隊（USCG）とカナダ沿岸警備隊（CCG）は、それぞれアメリカとカナダの主要な水路や港湾近くで、285kHzから325kHzの長波無線周波数を使用してDGPSを運用していました。USCGのDGPSはNDGPS（Nationwide DGPS）と呼ばれ、アメリカ陸軍工兵司令部（USACE）と共同で管理され、アラスカ、ハワイ、プエルトリコを含むアメリカ全土に放送局を設置していました。

同様のDGPSシステムは他の国々にも存在します。

広域DGPS（WADGPS）とGBAS

地上送信機の代わりに、軌道上の衛星から補正情報を送信するシステムは、広域DGPS（WADGPS）または地上型衛星航法補強システム（GBAS）と呼ばれます。これらのシステムは、より広範囲をカバーすることが可能です。

日本におけるDGPSの歴史

日本では、海上保安庁が中波ビーコンを用いて補正情報を送信していました。しかし、「GPS精度の向上」、「衛星による別の補正システムの運用開始」、そして「2019年4月7日のロールオーバー問題による信頼性の低下」を理由に、2019年3月1日正午をもってDGPSの運用は廃止されました。

関連技術

DGPSは、以下の技術と関連があります。

GPS: 全地球測位システム。
補助GPS: GPSの測位精度を向上させる技術。
衛星航法補強システム: GNSSの精度、可用性、信頼性を向上させるシステム。

参考資料

以下に、DGPSに関する外部の参考資料を記載します。

SiReNT information page
US NDGPS fact sheet
USCG Navigation Center National DGPS system
USCG coverage maps
Canadian Coast Guard DGPS information (English)
Canadian Coast Guard DGPS information (French)
Product Survey on RTK DGPS receivers for (mainly) hydrographic use
DGPS Decoding Software
Useful DGPS Links, Databases and Resources
* Worldwide database of IALA DGPS Reference stations on an interactive map

これらの情報源は、DGPSに関するより深い理解を助けるでしょう。

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