ディプティク

ディプティク（二連板）とは

ディプティク（diptych）は、ギリシア語の「二つ折り」を意味する言葉に由来し、蝶番で繋がった2枚の平板を持つものを指します。古代ローマ時代には、二つ折りの書字板として、現代では二連祭壇画など、様々な用途で用いられてきました。

古代におけるディプティク

古代世界では、ディプティクはノートの記録や時間・方角を計るために重宝されました。特に、浅い箱型の書字板は、内側の窪みに蝋を詰めて文字を書き込むことができ、再利用も可能だったため、買い物などのメモに便利でした。

初期キリスト教の時代には、教会の公式な生死者名簿としても用いられました。片方の翼に生者、もう一方に死者の名前を記し、主教や司教との繋がりを示す重要な役割を果たしました。ディプティクに名前が記されることは、教会との交わりを意味し、名前が消されることは分離を意味しました。

美術品としてのディプティク

古代末期には、執政官を讃える装飾が施された象牙製のディプティクが登場し、重要な美術形式となりました。中世以降は、板絵やパネル画として、個人用の携帯サイズから巨大な祭壇画まで、様々な形態のディプティクが制作されました。これらは二連祭壇画とも呼ばれます。

伝統的なディプティクは、ツゲ材にラッカーやワニスを塗ったものが一般的でしたが、象牙製や金属製のものも存在しました。象牙製は読みやすく耐久性に優れていましたが、木製よりも高価でした。金属製は頑丈で安価でしたが、読みにくいという欠点がありました。

その他の用途

ディプティクは、携帯用の日時計としても利用されました。内側の両面に文字盤があり、垂直式と水平式の両方の機能を持つものが存在しました。紐を指針として使用し、角度を調整することで時間を確認することができました。

まとめ

ディプティクは、古代から中世、そして現代に至るまで、様々な用途で用いられてきた歴史的なアイテムです。書字板、美術品、日時計など、その多様な形式と機能は、人々の生活や文化に深く根ざしていました。

外部リンク

National Gallery of Art, Prayers and Portraits: Unfolding the Netherlandish Diptych
Diptych The Catholic Encyclopedia, Volume V, Robert Appleton Company, Online Edition.
* Diptych sundials, National Maritime Museum.

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