ラッカー

ラッカー (Lacquer) について

ラッカーは、一般的に無色または着色された塗料の一種で、溶剤の揮発によって乾燥し、硬くて耐久性の高い塗膜を形成します。研磨することで非常に強い光沢と深みが得られるのが特徴です。狭義には、ナフサ、キシレン、トルエン、ケトンなどの揮発性の高い溶媒に樹脂を溶かしたものを指します。名称は、その分泌物がラッカーやシェラックの製造に用いられた昆虫ラックカイガラムシに由来します。

ラッカーの種類

ラッカーには様々な種類があり、それぞれ特徴が異なります。

ウルシオールラッカー

歴史上最も古いラッカーの使用例は、紀元前7000年頃の日本列島で、ウルシの木の樹脂から作られたものです。ウルシオールを主成分とし、酸化と重合を経て製造されます。水、酸、アルカリ、摩擦に強い反面、紫外線に弱い性質を持ちます。中国では棺、皿、楽器、家具などに用いられ、日本へも技術が伝わりました。日本では、金や銀の粉を用いた蒔絵などの装飾技法が発展しました。

ニトロセルロースラッカー

ニトロセルロースを含むラッカーは、1920年代に開発され、自動車工業で広く用いられました。速乾性に優れ、スプレーガンでの塗布に適しています。しかし、溶媒の可燃性、揮発性、毒性、ニトロセルロースの爆発の危険性などの欠点があります。鉄道模型や木製部材の塗装にも用いられます。

アセチルセルロースラッカー

ニトロセルロースラッカーの可燃性の高さから、主成分をアセチルセルロースに変更したものが開発されました。耐燃性を持つ紙や布の防火塗料として使用され、耐火性、耐光性、耐熱性、耐溶剤性、耐油性にも優れています。

アクリルラッカー

アクリル[[樹脂]]を用いたラッカーで、速乾性に優れています。自動車用塗料としての用途は、より耐久性に優れる2成分系ポリウレタンの登場によって減少しましたが、木材やプラモデルの塗装に広く用いられています。

水溶性ラッカー

有機溶媒を使うラッカーの健康への危険性と環境への悪影響を考慮し、水溶性のラッカーが開発されています。毒性が低く、環境にやさしいとされ、自動車工業や屋内での用途で普及が進んでいます。

ラッカーの歴史と文化

ラッカーの技術は、インドとアジアで大きく発展し、高度に装飾された品々が作られました。中国から中東へ、そして朝鮮半島へと伝播し、各地で独自の発展を遂げました。17世紀には、アジアの漆工芸がヨーロッパで模倣され、ジャパニングという技法が生まれました。

注意点

ラッカーは種類によっては毒性を持つものや、アレルギー反応を引き起こすものがあります。取り扱いには十分な注意が必要です。

まとめ

ラッカーは、古くから人々の生活を彩ってきた塗料です。その種類は多岐にわたり、用途や目的に応じて使い分けられています。環境への配慮から、水溶性ラッカーの開発が進むなど、現代においても進化を続けています。

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