ディプロキノドン

ディプロキノドン（Diplocynodon）について

ディプロキノドンは、ヨーロッパの後期暁新世から中期中新世にかけて存在していた絶滅したアリゲーターの一属です。この属は、2020年の時点で9種類が確認されており、特に長い吻部が特徴的です。この点において、後期白亜紀に生息していた基底的なレイディオスクスとは異なる重要な特徴があります。

種の発見と研究の歴史

19世紀には、高地において二つの種が特定されました。まず、D. steineriがオーストリアのシュタイアーマルク州で、次にD. styriacusがオーストリアおよびフランスで発見され、それぞれ命名されました。さらに、オーストリアから発見された第三の種、Enneodon ungeriは、当初は独立した属に分類されていましたが、2011年に再分類され、ディプロキノドン属の一部と認められるようになりました。この変更は、Enneodonの命名が1899年以降使用されていなかったことや、ディプロキノドンの利用が過去50年以内に普遍的であったことに基づいています。

同様に、スペインから見つかったHispanochampsa muelleri（2006年）、ドイツのBaryphracta deponaie（2012年）の二属も、ディプロキノドン属に再分類されました。さらに、フランスの上部暁新統から発見されたD. remensis、イギリスやフランスの上部始新統で見つかったD. elavericus、ブルガリアの漸新統から知られるD. levantinicumなど、多様な種が存在しています。特に、タイプ種のD. rateliiはフランスやスペインの下部中新統から出土しており、さらにフランスとイタリアの下部漸新統でも発見される可能性があります。

完全な化石と研究の進展

ディプロキノドンの中でも、イギリスのハンプシャー州で多くの化石が見つかっているD. hantoniensisは、最も完全な形態を保存している種として知られています。興味深いことに、この種に関する詳細な研究は150年間にわたって行われていませんでしたが、2020年に再度見直され、イギリスの後期始新世における記録が確認されました。また、形態情報を踏まえた系統解析では、ディプロキノドン属が単系統群であることが明かになっています。しかし、同形質や情報の欠落が重視される場合、D. remensisがその系統から外れる結果も示されています。

系統的位置

ディプロキノドンは、アリゲーター上科の中でも特に基盤的な属に分類されます。Lee & Yates (2018)による形態、分子、層序の情報を用いたクラドグラムでは、ディプロキノドンの位置づけが示されており、アリゲーター上科全体における彼らの進化的関係を理解する上で重要な役割を果たします。

さらに、2019年にはより詳細なクラドグラムが発表され、ディプロキノドンの系統的位置が深く掘り下げられました。

結論

ディプロキノドンは、古代のアリゲーターに関する理解を深める貴重な資料であり、その多様な種や進化的背景は、古生物学の重要な研究テーマとなっています。

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