ディンゴ (装甲車)

ATF ディンゴ

ATFディンゴ（Allschutz-Transport-Fahrzeug Dingo）は、ドイツのクラウス＝マッファイが開発した歩兵機動車（IMV）です。この車両の名称は「全防護輸送車輌」を意味し、その防護能力が求められる現代戦に適しています。

概要

ATFディンゴはウニモグのシャーシを基に心地よい安定性を提供するV字底を搭載したデザインが施されています。このデザインは地雷からの防護はもちろん、小火器の弾丸や砲弾の破片に対しても耐えられるように設計されています。さらに、NBC防護（核・生物・化学防護）装備も標準装備されており、過酷な環境下でも運用が可能です。

この車両は、モジュラー構造を採用しており、シャーシ、防御区画、貨物収納区画、エンジンルーム、地雷対策の底部区画の5つから成り立っています。特に後部の貨物収納区画は防水布を張り、軽量化を図っています。

最近では、改良型としてディンゴ2が登場しました。ディンゴ2は、ウニモグU5000のシャーシを基盤に、より優れた防御力と搭載量を追求したモデルです。ディンゴ2には、長さが3.25メートルのモデル（搭載量：3.5トン）と、長さが3.85メートルのモデル（搭載量：4トン）が用意されており、後者は防御区画内に最大8名が搭乗することができます。

兵装

ATFディンゴの兵装は、車両の屋根に取り付けられた特殊な兵装ステーションにより、外部へ頭や体を露出せずに操作することが可能です。一般的にはドイツ陸軍がラインメタルMG3を搭載していますが、状況に応じてブローニングM2重機関銃やH&K GMWなど、他の兵装に変更することもできます。また、新たに導入された完全リモートコントロール式のOWS、FLW 100（H&K MG4またはラインメタルMG3搭載）やFLW 200（ブローニングM2重機関銃またはH&K GMW搭載）は、数百基が調達予定で、ATFディンゴにも取り付けられる計画です。

採用国

ATFディンゴは多くの国で採用されています。オーストリア陸軍は、2023年時点で66両のディンゴ2やその他のバリエーションを保有しています。ベルギー陸上構成部隊は219両を保有しており、チェコ、ジョージア、ドイツ、ルクセンブルク、カタール、ウクライナなどにも配備されています。特にドイツ軍は、147両のディンゴ1と240両のディンゴ2を配備し、合計530両の装備を予定しています。

登場作品

ATFディンゴは、多くのフィクション作品に登場しています。例えば、アニメ『老後に備えて異世界で8万枚の金貨を貯めます』では、地球の傭兵団「ウルフファング」の指揮車両として描かれています。主人公のミツハや隊長、運転手の兵士たちがこの車両に乗り込み、様々な冒険を繰り広げます。

結論

ATFディンゴは、その高い防護性能と柔軟な兵装が特徴で、現代の戦場において不可欠な車両です。改良型のディンゴ2も登場し、さらなる防護力と運用能力向上が図られています。今後も、多くの国での運用が期待されるこの装甲車両は、国際的な防衛に大きく寄与しています。

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