ディヴォーション (キリスト教)

ディヴォーション（Devotion）とは

ディヴォーション（devotion）は、英語で忠誠、献身、傾倒などを意味する言葉です。その語源はラテン語の「devotio」（誓願により身を捧げる行為）に由来します。キリスト教においては、「神への信仰」や「敬虔」を意味する言葉として用いられ、日々の信仰生活における重要な要素とされています。

キリスト教におけるディヴォーション

キリスト教における「devotion」は、単なる信仰心を表すだけでなく、具体的な信仰行為を指します。具体的には、以下のような内容が含まれます。

聖書の通読: 聖書を順を追って毎日読み進めることです。一部分だけを読むのではなく、全体を通して神の言葉に触れることを重視します。
ディヴォーショナルテキストの活用: 聖書の解説や信仰的な記事が掲載された日々の読み物を活用します。これらのテキストは、聖書の理解を深め、日々の生活に神の言葉を適用する助けとなります。
内省: 自分自身の心の状態を神の前にさらけ出し、深く考えます。罪を悔い改め、神の恵みと導きを求める時間です。
執り成しの祈り: キリスト教の兄弟姉妹や周囲の人々、さらには全世界の人々のために祈ります。他者のために祈ることは、信仰の重要な側面です。

これらの要素を含む信仰的な営みが「ディヴォーション」としてキリスト教徒に推奨されています。

中世の修道院では、詩篇119篇164節「私は日に七度、あなたをほめたたえます」に基づき、早朝、午前9時、正午、午後3時、夕方、夜、就寝前にディヴォーションや祈りの時間を設けていました。特に、一日の始まりである朝のディヴォーションは、神を第一とする姿勢を表すものとして大切にされてきました。

現代では、時間や方法は個人の自由とされていますが、神との交わりを求める姿勢は変わりません。

ディヴォーションのテキスト

ディヴォーションのテキストとしては、聖書そのものが基本となりますが、その解釈や信仰の証などを掲載した書籍や雑誌も多く出版されています。

雑誌

『アパ・ルーム』
『クレイ』
『羊群』
『聖書日課 日々の豊かなディボーションのために』（月刊誌『ベラカ』の裏表紙）
『デイリーブレッド』
『日々のみことば』
『マナ』
『みことばの光』
『リビングライフ』

書籍・トラクト

『幸いな人』
『祈りの日記』
『マルティン・ルター日々のみことば』（マルティン・ルター、鍋谷堯爾）
『朝ごとに』『夕ごとに』(チャールズ・スポルジョン)
『一日一言』(マーティン・ロイドジョンズ)
『いと高き方のもとに』(オズワルド・チェンバーズ)
『キリストに倣いて』(トマス・ア・ケンピス)
ポケット・ディボーション・シリーズ（いのちのことば社刊）
『霊的奥義』 (ハドソン・テーラー)
『信仰』(ジョージ・ミュラー)
『祈り』(チャールズ・スポルジョン)
『霊的力』(チャールズ・フィニー)
『聖霊』(R・A・トーレー)
* 『聖潔』(アンドリュー・マーレー)

これらのテキストは、日々のディヴォーションをサポートし、信仰生活を豊かにするためのツールとして活用されています。

共和政ローマにおけるディヴォーション

ティトゥス・リウィウスによれば、共和政ローマでは、敵を神に捧げる際に、自軍から一人を選んで犠牲にすることが認められていました。犠牲者が死ねば成功とみなされましたが、もし死なない場合は、その奉献は失敗となり、大きな像を埋めてやり直したとされています。

また、ローマ軍の勝利のため、自らを犠牲に捧げた執政官プブリウス・デキウス・ムスとその息子も存在しました。これは、ローマにおける「献身」の概念の特異な例と言えるでしょう。

まとめ

ディヴォーションは、キリスト教における信仰生活の重要な要素であり、神との親密な交わりを深めるための実践です。聖書の通読、ディヴォーショナルテキストの活用、内省、祈りを通して、私たちは神との関係を築き、成長することができます。また、歴史的な背景からも、ディヴォーションが人々の生活や文化に深く根ざしてきたことが理解できます。

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