ディープ・パープル・イン・ロック

ディープ・パープル『イン・ロック』：ハードロックの金字塔

ディープ・パープルが1970年に発表したアルバム『ディープ・パープル・イン・ロック』は、彼らの音楽性を大きく転換させ、ハードロック・バンドとしての地位を確立した重要な作品です。初期のサイケデリックなサウンドから、リッチー・ブラックモアのギターを中心とした、より攻撃的でパワフルなサウンドへと進化を遂げました。

背景

デビュー曲「ハッシュ」がアメリカでヒットしたものの、本国イギリスでは無名に近い存在だったディープ・パープル。レッド・ツェッペリンの成功を目の当たりにし、ブラックモアはギターを中心としたハードロック路線への転換を決意します。新メンバー、イアン・ギラン（ボーカル）とロジャー・グローヴァー（ベース）を迎え、第二期ディープ・パープルが始動しました。

制作

1969年10月から1970年4月にかけて行われたレコーディングでは、メンバー自身がプロデュースを担当。ライブ活動で培われたバンドの演奏力と、マーティン・バーチをはじめとする優秀なエンジニアたちの技術が融合し、迫力のあるサウンドが作り上げられました。

特徴

『イン・ロック』は、全編を通してハードな楽曲で構成されています。特に、「スピード・キング」「チャイルド・イン・タイム」「ハード・ラヴィン・マン」といった代表曲は、リッチー・ブラックモアのギターリフ、イアン・ギランのパワフルなボーカル、そしてバンド全体の卓越した演奏力が光る名曲として知られています。

イアン・ペイスは「『イン・ロック』は思いのほかハードに仕上がった。アルバムコンセプトには反ドラッグや高度な音楽的主張も織り込まれている。今までの内向的な姿勢から初めて外向的にシフトしたアルバムだった。あの時、このアルバムを出していなければ我々は失敗に終わっていただろう。周りを驚かせるような強力な要素が必要だった。」と語っています。

ジャケット

アルバムのジャケットは、ラシュモア山の彫刻をパロディにしたもので、メンバーの顔が彫られています。この印象的なジャケットも、アルバムの知名度を高める一因となりました。

影響

『イン・ロック』は、イギリスで大きな反響を呼び、ディープ・パープルを代表するアルバムとなりました。シングル「ブラック・ナイト」も大ヒットし、バンドはハードロック・バンドとしての地位を確立しました。後の音楽シーンにも大きな影響を与え、多くのミュージシャンに影響を与えています。日本においては「スピード・キング」が日産・スカイラインGT-R(R33型)やスズキ・アルト ターボRSのCMに使用され、幅広い層に楽曲が知られるきっかけとなりました。

収録曲

1. スピード・キング
2. ブラッド・サッカー
3. チャイルド・イン・タイム
4. フライト・オヴ・ザ・ラット
5. イン・トゥ・ザ・ファイア
6. リヴィング・レック
7. ハード・ラヴィン・マン

『イン・ロック』は、ディープ・パープルの歴史において重要な作品であるだけでなく、ハードロックの歴史においても欠かすことのできない金字塔として、今もなお多くの音楽ファンに愛され続けています。

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