デイビッド・ディクソン・ポーター

デイビッド・ディクソン・ポーター：南北戦争の英雄

デイビッド・ディクソン・ポーター（David Dixon Porter, 1813年6月8日 - 1891年2月13日）は、アメリカ合衆国の海軍軍人であり、南北戦争における英雄の一人として知られています。最終階級は海軍大将にまで昇進し、その卓越した軍事的才能と勇猛果敢な行動で、アメリカ海軍の歴史に大きな足跡を残しました。

生い立ちと初期の経歴

ポーターは、ペンシルベニア州チェスターで、米英戦争の英雄であるデイビッド・ポーター海軍准将の息子として生まれました。1826年にメキシコ海軍の士官候補生としてキャリアをスタートさせ、その後コロンビア大学に進学しました。1829年2月2日にアメリカ海軍に入隊し、士官候補生としての道を歩み始めました。1836年から1840年にかけては海岸測量に従事し、その後ブラジル海域を巡航しました。さらに、ワシントンD.C.にあるアメリカ海軍天文台での勤務も経験しました。また、米墨戦争にも参戦し、実戦経験を積みました。

南北戦争での活躍

1861年、ポーターはUSSポーハタンを指揮して海軍のメキシコ湾戦隊に加わりました。1862年にはルイジアナ州ニューオーリンズへのミシシッピ川遡上作戦（ニューオーリンズの戦い）に参加し、21隻の砲艦と数隻の蒸気船を率いて勇敢に戦いました。1862年から1863年のビックスバーグ方面作戦では、ユリシーズ・グラント将軍の指揮下、旗艦USSブラックホークに乗艦し、ミシシッピ川戦隊を指揮しました。この作戦で、ポーターはグラントの「バイユー作戦」を支援し、ビックスバーグ攻略に貢献しました。グラント軍がビックスバーグを包囲する際、ポーターは自らの戦隊を率いてミシシッピ川を大胆に突破し、南軍の砲火をかいくぐりながら、兵員と物資を運び込みました。

ビックスバーグ攻略作戦での勇敢な行動

1863年4月16日、月明かりのない夜、ポーターは7隻の砲艦と3隻の輸送船を率いて、ビックスバーグの崖下に迫りました。南軍の砲台からの激しい砲撃の中、ポーターは巧みな操船術で艦隊を敵の射線から逃れさせ、ほぼ無傷で通過することに成功しました。この大胆な作戦は、グラント軍がビックスバーグを攻略する上で不可欠なものでした。4月29日には、グランド湾の要塞に対する攻撃を指揮し、陸軍部隊の上陸を支援しました。

ビックスバーグ陥落と昇進

1863年7月4日、ビックスバーグの南軍が降伏した同じ日に、ポーターは海軍少将に昇進しました。その功績は連邦議会からも高く評価され、ミシシッピ川を開放する上での多大な貢献に対して感謝状が贈られました。1864年のレッド川方面作戦では、南軍の改装砲艦ミズーリを降伏させる戦果を挙げました。

第二次フィッシャー砦の戦い

1864年には、北大西洋封鎖戦隊の指揮官となり、60隻の艦隊を率いて、1865年1月の第二次フィッシャー砦の戦いで勝利を収めました。この戦いでは、ポーターの艦隊が砦の海側からの砲撃を担当し、陸軍部隊の進撃を支援しました。特に、ポーターの艦隊の砲撃精度は非常に高く、砦の守備兵を効果的に排除しました。この戦功により、ポーターは再び議会から感謝状を受けました。

南北戦争終結とその後

1865年3月、南北戦争終結間近の頃、ポーターはエイブラハム・リンカーン大統領、ユリシーズ・グラント将軍、ウィリアム・シャーマン将軍とともに、大統領船リバークィーン号に集いました。この会合は、ジョージ・P・A・ヒーリーの絵画『"平和の作り手達"』で記念されています。

戦後、ポーターは1866年に海軍中将、1870年には海軍大将に昇進し、戦後時代の最上級士官となりました。海軍航行局長や海軍兵学校の校長を務めるなど、海軍の発展に大きく貢献しました。また、彼はいくつかの海軍に関する本や小説を執筆しました。ポーターはワシントンD.C.で亡くなり、アーリントン国立墓地に埋葬されました。

家族と遺産

ポーターは、1839年3月10日にジョージー・アン・パターソンと結婚し、10人の子供をもうけました。彼の息子であるカーライル・パターソン・ポーターも海軍士官として活躍しました。また、ポーターの家族には、海軍准将や提督など、多くの軍人が名を連ねています。彼の功績を称え、アメリカ海軍の5隻の艦船がUSSポーターと命名されました。海軍兵学校にはポーター道路が作られ、彼の名前は後世に伝えられています。

著作

ポーターは、海軍に関する数多くの著作を残しました。

『アメリカ海軍デイビッド・ポーター海軍准将の伝記』（1875年）
『ハリー・マーリンの冒険』（1885年）
『アラン・デアとロバート・ル・ディアブル』（1885年）
『アーサー・マートン、小説』（1885年）
『南北戦争の出来事と逸話』（1885年）
『南北戦争海軍の歴史』（1886年）
『経験豊富な船乗り：海兵のためと目された話』（1876年 共著）
『南北戦争の戦闘絵解き』（1885年）


デイビッド・ディクソン・ポーターは、アメリカ海軍の歴史において、その卓越した軍事的才能と勇猛果敢な行動によって、不朽の足跡を残した偉大な英雄として、永遠に語り継がれるでしょう。

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