デイリーレーシングフォーム

デイリーレーシングフォーム（DRF）: 北米競馬界の礎を築いた競馬新聞

デイリーレーシングフォーム（Daily Racing Form、略称DRF）は、北アメリカで広く読まれている老舗の競馬新聞です。1894年、イリノイ州シカゴでフランク・ブリュネルによって創刊されました。当初はタブロイド版でしたが、その後、成長を続け、現在ではニューヨークに拠点を置く大規模なメディアへと発展しています。

DRFを特徴づけているのは、各競走に出走する馬の過去の詳細なデータが網羅された一覧表です。この一覧表は、北米における競馬情報のスタンダードとして長年利用され、競馬ファンや関係者にとってなくてはならない存在となっています。アメリカとカナダの競馬場で行われるレースはもちろん、サイマルキャストで視聴可能なレースの情報も掲載しています。タイムゾーンの違いを考慮し、朝刊版と夕刊版を発行するなど、情報提供に工夫を凝らし、毎日30版もの新聞を発行しています。

DRFは、単なる競馬新聞にとどまらず、アメリカ競馬界に多大な貢献を果たしてきました。特に、年度代表馬の選考において重要な役割を果たしています。1971年には、それまで複数の機関が独自に選考していた年度代表馬の選考を一本化するため、エクリプス賞の創設に参画。以来、全米サラブレッド競馬協会、全米競馬記者協会と共に、エクリプス賞の選考委員を務めています。

さらに、DRFはアメリカ競馬界の年間を総括した年鑑も発行しています。これは、その年の競馬界の出来事を詳細に記録した貴重な資料であり、歴史研究にも役立てられています。

DRFには、アメリカ競馬の歴史に名を残す多くの著名人が関わってきました。例えば、チャールズ・ハットンは、DRFのコラムニストとして活躍し、アメリカクラシック三冠の概念を生み出した人物として知られています。また、スティーブン・クライストはDRFの編集長を務め、ニューヨークタイムズでのコラムニスト経験も持ち合わせています。他に、馬の絵で知られたイラストレーターのピエリ・ブロック（愛称：Peb）や、後に全米競馬記者協会を設立したジョー・ヒルシュもDRF紙に携わっていました。ジョー・ヒルシュの名は、ジョーハーシュ・ターフクラシックステークスというレース名に今も残っています。

1世紀以上にわたり、DRFは正確で詳細な情報と分析を提供し続け、北米競馬界の発展に貢献してきました。その歴史と影響力は、現代の競馬報道にも色濃く反映されています。DRFのウェブサイト（DRF.com）では、最新の情報や過去の記録などを閲覧することができます。今後も、DRFは競馬ファンにとって欠かせない存在であり続けるでしょう。

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