デウスト大学

デウスト大学：バスク地方の名門カトリック大学

デウスト大学（Universidad de Deusto）は、スペインのバスク地方に位置する私立大学であり、イエズス会によって設立されたカトリック大学です。ビルバオにメインキャンパスと本部を置き、サン・セバスティアンにもキャンパスを展開しています。1886年の開校以来、130年以上にわたり、バスク地方だけでなくスペイン全土の社会、経済、文化に貢献する人材を輩出してきました。

歴史

デウスト大学は、1886年にイエズス会によって創立されました。当時、ビルバオ最大の建物であった巨大な校舎は、建築家マルケスによって設計されました。大学の設立当初は、ビルバオから独立した自治体であったデウスト地区に位置していました。

1916年には、スペイン初のビジネスカレッジが設立され、長らくスペイン唯一のビジネススクールとして、経済界を牽引する人材を育成しました。このビジネスカレッジは、1973年に経済学・経営学部として改組されました。

スペイン内戦と戦後

1931年のスペイン第二共和政成立後、イエズス会が所有する大学は閉鎖されましたが、一部の講義はビスカヤ文化学院で続けられました。スペイン内戦中、大学は軍事基地として使用され、戦後は病院、食料供給センター、強制収容所として利用されました。1940年に授業が再開されました。

フランコ政権下では、デウスト大学はスペイン屈指のエリート養成機関として、ブルジョワの子弟を集めました。また、バスク祖国と自由(ETA)の前身であるEKINがデウスト大学から発祥したこともあり、バスク民族主義者たちの牙城としての側面も持っていました。

スペイン政府の公認

1962年、デウスト大学はバスク地方やスペイン全土で広く知られるようになり、卒業生は様々な分野で活躍していました。しかし、当時はまだスペイン政府から正式な認可を受けておらず、学位認定試験を州立大学で受験する必要がありました。1963年、デウスト大学はローマ法王庁による公認を受け、その後スペイン政府からも認可され、学生数が急増しました。

サン・セバスティアン・キャンパス

サン・セバスティアン・キャンパスは、1956年に経営学、法学、経済社会学、工学の準備講座が開設されたことに始まります。1990年には、サン・セバスティアン・キャンパスがデウスト大学の2番目のキャンパスとなり、現在では経済学・経営学部、人文科学部、観光学専攻、社会労働学専攻が設置されています。

開設学部

経済学・経営学部 (Economics and Business Administration)
社会学・人文科学部 (Social and Human Sciences)
法学部 (Law)
工学部 (Engineering)
心理学・教育学部 (Psychology and Education)
神学部 (Theology)

著名な関係者

デウスト大学は、数多くの著名な教員や卒業生を輩出しています。

教員

ペドロ・アルペ – イエズス会第28代総長
シャビエル・アルサリュス – 政治家、元バスク民族主義党党首
アンドレス・オルティス＝オセス – 哲学者

卒業生

ホセ・アントニオ・アギーレ – バスク州政府初代首相
カルロス・ガライコエチェア – バスク州政府首相
ホセ・アントニオ・アルダンサ・ガロ – バスク州政府首相
ホアキン・アルムニア - 元スペイン社会労働党党首、元欧州委員会メンバー
エミリオ・ボティン – サンタンデール銀行総裁
* アレックス・デ・ラ・イグレシア – 映画監督

まとめ

デウスト大学は、長い歴史と伝統を持つスペインの名門大学であり、バスク地方の社会、経済、文化の発展に大きく貢献してきました。現在も、国際的な教育・研究機関として、グローバル社会で活躍できる人材の育成に力を入れています。

バスク地方への留学を検討している方にとって、デウスト大学は魅力的な選択肢の一つとなるでしょう。

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