デジタルオブジェクト識別子

デジタルオブジェクト識別子（DOI）について

デジタルオブジェクト識別子（DOI）は、インターネット上で利用される文書やデジタルコンテンツに対して恒久的に付与される識別子です。このシステムは、特に学術分野で頻繁に用いられ、文献の引用や情報の参照が容易になるよう設計されています。

一つの主な利点として、URLの不安定さが挙げられます。通常、URLはサーバーの移転やサイトの変更によって変更されることが多く、その結果として古いリンクが無効になってしまうことがしばしばあります。DOIは、この問題を解消する目的で開発されました。具体的には、ユーザーがDOIを利用することで、出版社のサーバーやファイルの所有者にアクセスするための一貫した経路を確保します。これにより、情報のアクセスが持続的に可能となるのです。

学術論文や科学文献において、DOIは非常に一般的であり、多くの著名な学術雑誌、例えば「Nature」や「Science」、さらにはIEEEやACMといった学会発行の論文にもDOIが割り当てられています。また、DOIは単なる著作物のタイトルにとどまらず、書籍の特定のページや図表、音楽の個々のトラックにまで付与されることがあります。これにより、利用者は必要な情報を迅速に見つけ出すことが可能となります。このような細かい分類は、ISBNやISSN、CODENなどの他の識別子と異なる特徴です。

DOIのシステムは、アメリカ出版協会（AAP）と国立研究イニシアチブ団体（CNRI）によって設立され、現在は国際DOI財団（The International DOI Foundation）がその運営を担っています。

DOIの構造

典型的なDOIは、特定の形式に従った文字列で構成されています。例えば、`10.1021/jo0349227`というDOIがあるとします。ここで、最初の部分「10.1021」は国際DOI財団が付与したディレクトリ識別子であり、これはアメリカ化学会を示します。スラッシュ以降の「jo0349227」は、該当する出版社が任意で付けた特定のIDです。

ユーザーがDOIを利用して情報を取得する際、次の手順を踏みます。まず、目的のDOIをブラウザに入力します。次に、そのDOIがDOIディレクトリに送信され、対応するURLに変換されます。その後、変換されたURLがファイルが保管されている出版社のサーバーに送信され、最終的に目的のファイルがユーザーに提供されるという流れです。

もしも出版社がファイルを移動した場合でも、DOIディレクトリ内で関連するURLを更新することで対処が可能です。このため、ユーザーは常に同じDOIを使用し続けることができ、リンクの持続性が保証されます。

DOI登録機関

DOIは、様々な団体によって登録され管理されています。主な登録機関には、CrossRef、DataCite、欧州委員会出版局、ジャパンリンクセンター、mEDRA、韓国科学技術情報研究院、EIDR、中国知網、Airiti、ISTICなどがあります。

このように、DOIはデジタルコンテンツにアクセスするための効率的な手段を提供するだけでなく、学術的な参照の正確性や持続性を確保するための重要なツールとなっています。

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