デジタル式映画撮影とは？意味をやさしく解説

デジタル式映画撮影

デジタル式映画撮影とは、従来の銀塩フィルムを使用せずに、光を電気信号に変換する撮像素子を用いて、磁気テープやハードディスクなどの記録媒体に映像を記録する撮影技術のことです。

概要

1990年代から部分的に導入されてきましたが、2002年公開の『スター・ウォーズエピソード2/クローンの攻撃|スター・ウォーズエピソード2_クローンの攻撃』が全編デジタル撮影されたことで注目を集めました。VFX（視覚効果）との親和性が高く、フィルムの無駄を省き、撮影現場で映像を即座に確認できるなどの利点から、映画撮影の主流となりつつあります。

従来フィルム式機材を供給していたアーノルド&リヒターやパナビジョンもデジタル化に対応し、レッド・デジタル・シネマカメラ・カンパニーや、ソニー、パナソニックといった放送機器メーカーも参入しています。

デジタル撮影と従来のフィルム撮影、どちらが優れているかという議論は現在も続いています。資金面で余裕のあるハリウッドのメジャー映画ではデジタル撮影が主流ですが、近年では最新のIMAX 70mmフィルムで撮影される作品も存在します。

デジタルデータは、長期保存においてデジタルジレンマという課題を抱えています。フィルムのように適切な環境で保管するだけで済むわけではなく、データ消失のリスクや高コストが問題視されています。

歴史

1980年代末、ソニーがコロンビア映画を買収した際、高品位テレビの技術を応用した「電子映画」という概念が提唱されました。しかし、この試みは限定的な成功に終わりました。

1998年、ソニーはCCDを用いて1440×1080ピクセルのデジタルビデオ映像を得られるHDCAMレコーダーを開発し、新たな「デジタル映画」の概念を打ち立てました。これにより、デジタル映画は市場に足がかりを築きました。

2002年、『スター・ウォーズエピソード2』は、ソニーのHDW-F900カメラを使用し、毎秒24フレームの高品位デジタルビデオで全編撮影されました。これは、巨額の予算を投じた初の試みとして話題になりました。

ハリウッド以外の低予算映画では、すでにデジタルカメラによる全編撮影が普及しつつあり、デジタル映画革命は着実に進行していました。1990年代半ばにソニーからDVフォーマットのDCR-VX1000が登場しました。DVは従来のアナログ方式に比べて編集時の画質劣化が少なく、コストパフォーマンスに優れていました。画質面ではまだフィルムに及ばないものの、DVカムコーダーとノンリニア編集ソフトウェアの組み合わせは、低予算の映像制作者に新たな可能性をもたらしました。

現在では、ソニー、パナソニック、JVC、キヤノンなどから、プロシューマー（生産消費者）向けの高品位ビデオカメラが低価格で販売されています。上位機種では、デジタルシネマに特化したカメラも提供されています。

デジタルシネマ専用カメラは、ソニー、パナソニックの他に、アーノルド&リヒター、パナビジョン、グラスバレー、レッド・デジタル・シネマカメラ・カンパニーなどから供給されており、解像度やダイナミックレンジなどの特性が銀塩フィルムに近づいています。

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