デソーターMk.II

デソーター Mk.II：波乱に満ちた歴史を持つイギリスの単葉観測機

デソーター Mk.IIは、1920年代後半にイギリスのデソーター飛行機会社で製造された単葉観測機です。その起源は、オランダの航空機メーカー、コールホーフェンが設計したFK41に遡ります。当時、近代的な設計で注目を集めていたFK41のライセンス生産を計画したのが、イギリスで航空機製造会社を設立したマルセル・デソーターでした。

開発と初期の活躍

オランダで製造されたFK41の2号機は、1929年7月に「デソーター・ドルフィン」という名前で展示されました。その後、名称が「デソーター」に変更され、翌年には「デソーター I」として正式に登場しました。この機体は、イギリスのNational Flying Services Ltdによって大量発注され、19機が納入されました。黒と鮮やかなオレンジに塗装されたこれらの機体は、イギリス各地の飛行クラブで訓練や観光飛行に活用されました。

1930年にはニュージーランドからの注文を受け、オーストラリアのシドニーまで空輸され、その後船でニュージーランドに運ばれました。同年には、改良型の「デソーター II」が開発されました。デ・ハビランド ジプシーIIIエンジンを搭載し、エルロン、尾翼、ブレーキが改良されました。

生産と各国の導入

デソーターMk.Iは28機、改良型のMk.IIは13機が製造され、合計41機がクロイドン飛行場で製造されました。一方、オランダで製造されたFK41はわずか6機にとどまりました。

ニュージーランドでは、1931年に初の民間航空事故を起こしたことで知られています。ドミニオン航空のZK-ACAがヘイスティングとギズボーンの間で事故を起こし、乗客3名が死亡しました。オーストラリアでは、フリンダース島への定期便に用いられ、その機体は現在、クイーン・ビクトリア博物館に展示されています。

デンマークでの活躍と冬戦争での貢献

デンマーク航空協会は、1931年にMk.IIを購入しました。1934年、この機体（OY-DOD）は航空士官のミカエル・ハンセンに売却され、その後、Nordisk Luftrafik companyやNordjysk Aero Serviceを経て、1938年に再びハンセンの手に渡りました。ハンセンは、この機体でケープタウンまでの飛行やマックロバートソン・エアレースに参加しました。マックロバートソン・エアレースでは、イギリスからメルボルンまでを129時間47分で飛行し、ハンディキャップ部門で7位の成績を収めました。

ソビエト連邦とフィンランドの間で勃発した冬戦争中、デンマーク赤十字社はフィンランドで使用する救急機を購入するための資金を集め、Mk.II（OY-DOD）が購入され、フィンランドに寄贈されました。1941年10月28日、ミカエル・ハンセンの操縦でヘルシンキに到着。その後、フィンランド空軍と赤十字で使用され、観測機や救急機として活躍しました。1944年11月14日までの任務を終え、戦後は航空機製造のKarhumaki兄弟に売却されました。さらにTorsti TallgrenとArmas Jylhaに売却され、1947年にOH-TJAとして再登録されましたが、同年12月4日にタンペレ近くで墜落しました。

保存状況

製造された41機のうち、3機がイギリスとオーストラリアで保存されています。そのうち2機は、飛行可能な状態で保存されており、現在もその姿を見ることができます。

型式と生産数

コールホーフェン F.K.41 - 原型機、6機製造
デソーター Mk.I - イギリス製ライセンス製造機、Cirrus Hermes エンジン使用。28機製造。
* デソーター Mk.II Sports Coupe - Mk.I の改良型。13機製造。

デソーターMk.IIは、その生涯を通して様々な役割を担い、波乱に満ちた歴史を歩んだ航空機でした。民間航空、軍用、そして人道支援まで、幅広い分野でその姿を見ることができたのです。

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