デッドセクション

デッドセクションとは

デッドセクション（や死電区間、無電区間）は、電化された国鉄の鉄道システムにおいて、異なる電気方式や会社間の接続点に配置される架線から電力供給のない区間を指します。これにより、直流と交流、あるいは異なる電圧の鉄道が接続せざるを得ない際の電源分離を効率的に行いつつ、運行の安全を確保する役割を担っています。

設置の類型

デッドセクションが設置される状況は多岐にわたります。以下はその主なタイプです。
1. 電流区分セクション: 直流電化と交流電化の境に設けられる。
2. 電圧区分セクション: 同じ電化方式でも電圧の異なる区間の境目。
3. 異相区分セクション: 同じ交流電化でも位相の異なる区間の境。
4. 周波数区分セクション: 使用する周波数が異なる交流の境目。
5. 電源区分セクション: 同じ電化方式・電圧の路線でも異なる会社間での電源分離。
6. 平面区分セクション: 異なる電化方式と電圧を持つ路線が交差する地点での設置。

これらのデッドセクションは、ヨーロッパなどでは特に多くみられ、設計や材料が異なるインシュレータが用いられていますが、安全には細心の注意が必要です。

安全対策

デッドセクションを通過する際は、列車運転の際にいくつかの注意が必要です。主に、パンタグラフがこれらの無電状態の区間を通過する際には、列車が力行のまま進入すると大きなアークが発生するリスクがあり、これに対しては「架線死区間標識」が設けられています。この標識を確認し、惰行状態で通過することが求められます。
また、デッドセクション内のレールには絶縁継目が取り付けられ、信号機制御に使われる電流の流れを妨げないように工夫されています。これにより、信号制御などの機能が維持されます。

高速鉄道との関連

特に、高速鉄道如TGVなどは、デッドセクションを有する設計上の挑戦を克服し、安定した運行を実現しています。日本では1964年の新幹線開業時の設計があり、無電時間が最小限になるよう工夫されています。

車上切替方式

列車がセクションを通過する際、運転士がスイッチ操作を行うことで電気方式を切り替える手法も存在します。これにより、列車は一定の距離で惰行状態でありながらも無給電のセクションを通過することが可能です。また、列車が通過後に自動的に主回路が再び閉じられ、スムーズに力行が再開されます。しかし、設計年次の古い電車では一時的な停電が発生し、その結果として車両内部の照明や空調の機能が落ちることもあります。

地上切替方式とその変遷

日本の鉄道では、駅構内での電源切替がかつて行われていた例がありますが、現在では多くの地点で廃止されています。その一方で、近年では自動切替装置や新たな技術を導入することで、運転士の負担を減らしつつ安全性を高めています。

世界のデッドセクション

海外では、アメリカのメトロノース鉄道やスイスのレーティッシュ鉄道、韓国の首都圏電鉄など様々な場所でデッドセクションが運用されています。これらの運用はそれぞれの環境に適応した状態で行われており、国ごとに設置状況や取り組みが異なります。

デッドセクションの設置は、鉄道の安全性と運行効率を高めるための重要なコンセプトの一部であり、絶え間ない技術革新を通じて進化しています。

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