デトロイト (映画)

映画『デトロイト』の概要

『デトロイト』（原題: Detroit）は、2017年にアメリカで公開されたキャスリン・ビグロー監督のドラマ映画です。本作は、1967年に実際に起こったデトロイト暴動を背景にし、その中でも特に注目されるアルジェ・モーテル事件を描いています。この映画が公開された年は、暴動から50年が経過した記念すべき年でもあり、歴史的な出来事の再考を促す意義のある作品となりました。

ストーリー

物語は、1967年7月23日、デトロイトで行われたアフリカ系の退役軍人を称える式典の最中に始まります。この式典に人々の関心が集まる隙をついて、デトロイト市警は違法な酒場を摘発します。その結果、逮捕された経営者に対して反発が起こり、市民が警官に対して石を投げることから暴動が勃発。暴動は急速に拡大し、略奪や銃撃戦が発生する事態になりました。この出来事は後に「12番街暴動」として語り継がれることになります。

州知事のジョージ・ロムニーは、州兵を派遣する決断を下し、暴動の鎮圧にあたります。しかし混乱の中で捜査が難航し、ひとりの警官フィリップ・クラウスは規則に反して男性を背後から射殺してしまいます。彼はその後も捜査に残ることになりました。

一方、市内では地元のバンド「ザ・ドラマティックス」がレコード契約を目指して活動中でした。しかし、その活動の途上で暴徒によるバス襲撃に遭遇し、メンバーは離れ離れになってしまいます。ボーカルのラリーと友人フレッドは、アルジェ・モーテルでのカジュアルな集まりに参加しますが、このモーテルでの出来事が更なる悲劇を引き起こすことになります。クーパーという男がスターターピストルを使って遊び半分で銃声を鳴らしたことで、州兵や警官が誤解し、激しい銃撃が始まるのです。結果的に、黒人３人が死亡し、さらに他の人々も重傷を負う事態が発生します。

登場人物のその後

映画の終幕では、主要なキャラクターたちのその後の人生について触れられています。メルヴィンは恐怖からデトロイトを去って新しい町で警備員として働き続け、クラウスは警察を解雇されることなく現場に戻ることはありませんでした。ジュリー・アンは辛い経験を乗り越え、幸福な家庭を築き、ラリーは事件の影響からザ・ドラマティックスを脱退し、聖歌を歌うシンガーへと転身しています。

製作と撮影

本作の製作は2016年の初めから始まり、撮影は主にマサチューセッツ州で行われました。デトロイトを舞台にしているにもかかわらず、撮影の大半がボストン周辺で行われたのは、ミシガン州が映画製作への支援を打ち切ったためです。

音楽と興行収入

映画の音楽はジェームズ・ニュートン・ハワードが担当し、サウンドトラックにはデトロイト出身のアーティストたちが参加しています。2017年の公開初週末には、全米で35万ドルの興行収入を記録。しかし、その後段階的に公開館数を増やしながら、最終的には8位となる712万ドルの収入に達しました。

評価

『デトロイト』は批評家から高い評価を受けており、特に俳優たちの演技が称賛されています。Rotten Tomatoesでの支持率は83%、Metacriticでは78点がつけられました。映画はアメリカの歴史における痛ましい事件を振り返り、現代の社会問題への警鐘を鳴らす重要な作品として意義を持っています。

もう一度検索