デニス・ジョンソン

デニス・ジョンソン：伝説のディフェンダー

デニス・ウェイン・ジョンソン（Dennis Wayne Johnson、1954年9月18日 - 2007年2月22日）は、アメリカ合衆国出身のバスケットボール選手です。特にディフェンスの名手として名を馳せ、NBAオールディフェンシブチームに9回選出されるなど、輝かしい実績を残しました。1980年代のボストン・セルティックスの黄金時代を支えた立役者の一人として、彼の名はバスケットボール史に深く刻まれています。

NBAキャリア

シアトル・スーパーソニックス (1976-80)

ペパーダイン大学から1976年のNBAドラフトで2巡目29位という下位指名でシアトル・スーパーソニックスに入団。入団3年目の1978年には、プレーオフで前年の王者ポートランド・トレイルブレイザーズやデンバー・ナゲッツを破り、NBAファイナルに進出しました。ワシントン・ブレッツとのファイナルでは惜しくも敗れましたが、翌1978-79シーズンには再びブレッツと対戦し、4勝1敗で悲願の優勝を果たし、ジョンソン自身もファイナルMVPに輝きました。しかし、チーム内での評判は悪化し、自己中心的なプレーが目立つとして、当時の監督レニー・ウィルキンスから「チームのガンだ」とまで評されることもありました。

フェニックス・サンズ (1980-83)

1980年にフェニックス・サンズへ移籍。ここでは、主にシューティングガードとして才能を開花させ、ソニックス時代には2番手、3番手の選手という位置づけでしたが、サンズではチームの主要な得点源として活躍しました。ジョンソンは、この移籍を機に、選手としての名声をさらに高めていきました。

ボストン・セルティックス (1983-90)

ボストン・セルティックスは、長年プレイオフでフィラデルフィア・セブンティシクサーズに苦杯を舐めさせられていました。そこで、当時のゼネラルマネージャー、レッド・アワーバックは、ジョンソンの卓越したディフェンス能力に注目し、サンズから獲得。ラリー・バード、ケビン・マクヘイル、ロバート・パリッシュ、ダニー・エインジといったスター選手を擁していたセルティックスは、ジョンソンの加入により黄金期を築き、1984年と1986年にNBAチャンピオンに輝きました。

ラリー・バードは、ジョンソンを「一緒にプレーした中で最高の選手だ」と評し、彼らのコンビプレーは多くのファンを魅了しました。特に、1987年のプレイオフ、対デトロイト・ピストンズ戦で見せた残り5秒からの劇的な逆転劇は、今もなお語り継がれる伝説となっています。また、1984年のNBAファイナルでは、前半こそ不調だったものの、4戦目以降は目覚ましい活躍を見せ、マジック・ジョンソンをディフェンスで苦しめ、チームの優勝に大きく貢献しました。

引退後

ジョンソンは、セルティックスのスカウトやアシスタントコーチを経て、NBAデベロップメント・リーグのオースティン・トロスでヘッドコーチを務めました。しかし、2007年2月22日、練習後に駐車場へ向かう途中で突然倒れ、急逝。死因は心臓発作でした。

プレースタイル

ジョンソンは、卓越したディフェンス能力を誇る選手でした。スティールの名手であり、相手がスティールされたことに気づかないほどでした。また、ガードとしては長身で腕も長かったため、リバウンドにも貢献しました。攻撃面では、初期には無理なペネトレーションや得意ではないジャンプシュートを試みることもありましたが、セルティックス移籍後は、攻撃の起点として見事なアシストを披露し、チームプレーに徹するようになりました。足は速くありませんでしたが、独特なステップ（相手からは「ウサギのダンス」のようだと評された）でペネトレートし、得点や相手のファウルを誘いました。接戦に強く、それまで不調でも第4クォーターになると多くのシュートを成功させました。大学時代にはフォワードを務めていたこともあり、ポストプレーも得意としていました。また、競争心の強いラリー・バードをして「DJは俺より競争心が強い」と言わしめるほどの負けず嫌いでした。

主な受賞

ファイナルMVP（1979）
オールNBAファーストチーム（1981）
オールディフェンシブファーストチーム（1979-1983、1987）
オールディフェンシブセカンドチーム（1984-1986）

通算成績

15535得点
4249リバウンド
5499アシスト
1477スティール

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