デフォルト (金融)

債務不履行（デフォルト）とは

債務不履行（デフォルト）とは、契約で定められた債務が履行されない状態を指します。特に金融の世界では、債券の発行体が、破綻などの理由により、元本や利息の支払いを遅らせたり、停止したり、あるいは元本を償還できなくなる事態を指します。この状況は、債務者にとっては期限の利益を失うことになり、債権者にとっては貸付金の回収が困難になるなど、大きな影響を及ぼします。

債務不履行の具体例

国債の債務不履行

歴史的に、多くの国が国債の債務不履行を経験しています。以下にその主な例を挙げます。

1671年：イギリス - 200万ポンド以上の公債が償還不能となり、債務の棒引きが行われました。
1790年：アメリカ合衆国 - 州債を国債に振り替える際に、利息の支払いを延期したことが債務不履行とみなされました。
1871年：日本 - 廃藩置県時に、藩の債務を国債に振り替える際、利息の支払い条件を変更したことが債務不履行となりました。
1876年：オスマン帝国 - 財政破綻により、債務不履行が発生しました。
1933年：アメリカ合衆国 - 金本位制に関連して、米国債の償還や利息の支払いを金で行うという条項を過去に遡って廃止しました。これは債務不履行とみなされました。
1982年：メキシコ - 外債の債務不履行が発生しました。
1987年：ブラジル - 対外債務のデフォルトに至りました。
1998年：ロシア - 対外債務の支払いを一時停止しました。
2001年：アルゼンチン - 外国債に関して7度目のデフォルトを宣言しました。
2008年：エクアドル - 外貨建て債務のデフォルトを宣言しました。
2014年：アルゼンチン - 13年ぶりに8度目の債務不履行に陥りました。
2015年：ギリシャ - IMFへの債務が返済できず、先進国として初のIMFに対する債務不履行となりました。
2020年：レバノン - 外貨建て国債の支払いを延期しました。
2020年：アルゼンチン - 9度目のデフォルトが確定しました。
2020年：ザンビア - ドル建て国債の利払いを行わず、債務不履行となりました。
2022年：スリランカ - 独立以来、初の債務不履行に陥りました。
2022年：ガーナ - ユーロ債などが債務不履行となりました。

地方債の債務不履行

地方自治体も債務不履行に陥ることがあります。

2013年：アメリカ・デトロイト市 - 財政破綻し、連邦倒産法を申請しました。
2014年：中国 - 複数の省で初の地方債務のデフォルトが発生したと発表されました。
2015年：アメリカ・プエルトリコ - 債務不履行に陥りました。

金融機関の債務不履行

金融機関もまた、債務不履行を起こす可能性があります。

1997年：三洋証券 - 経営破綻により、無担保コール資金をデフォルトしました。
1999年：新潟中央銀行 - 為替決済取引上の債務不履行が発生し、経営破綻しました。
2008年：リーマン・ブラザーズ - 経営破綻し、世界的な金融危機（リーマン・ショック）を引き起こしました。

債務不履行の影響

債務不履行は、債務者と債権者の両方に大きな影響を与えます。

債務者：信用が失墜し、今後の資金調達が困難になる可能性があります。また、期限の利益を失い、債権者による債権回収手続きが開始されることもあります。
債権者：貸付金の回収が困難になり、多額の損失を被る可能性があります。特に、金融機関が債務不履行を起こすと、金融システム全体に影響が及ぶ可能性があります。

債務不履行への対策

債務不履行を避けるためには、以下の対策が重要です。

適切な債務管理：債務の規模を適正に保ち、返済計画をしっかりと立てることが重要です。
経済状況の監視：経済状況の変化を常に監視し、必要な対策を講じることが重要です。
リスク分散：債務の集中を避け、複数の資金調達手段を持つことが重要です。

債務不履行は、経済に大きな影響を与える問題です。そのメカニズムを理解し、適切な対策を講じることが重要です。

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