デュプレ級駆逐艦

デュプレ級駆逐艦：フランス海軍の進歩した護衛艦

デュプレ級駆逐艦は、フランス海軍が運用した駆逐艦の艦級です。5隻が建造され、シュルクーフ級駆逐艦を基に、対空・対潜能力の向上を目指した設計が特徴です。計画番号T-53として1953年度計画から建造が開始されました。

強化されたセンサーと対潜能力

本級は、先行するシュルクーフ級(T-47型)をベースに設計されました。船体と機関はほぼ踏襲しつつも、対空監視・航空管制機能の強化が図られています。その象徴として、前檣上の対空捜索[レーダー]]は、アメリカAN/SPS-6|AN_SPS-6を参考に開発されたDRBV-22Aに更新されました。これはLバンド、出力2000キロワットの2次元レーダーで、最大探知距離は70[[海里]に達しました。

対潜能力についても大幅な強化が施されています。シュルクーフ級では、550mm魚雷発射管を対潜誘導魚雷にも対応させることで対潜能力を確保していましたが、デュプレ級では、新たにModèle 54 6連装375mm対潜ロケット発射機が装備されました。これはスウェーデンのボフォース社製の4連装ロケット発射機を元に独自開発されたものです。この装備によって、デュプレ級はより効果的な対潜攻撃能力を獲得しました。

堅実な砲熕兵装

砲熕兵器は、シュルクーフ級とほぼ同じ構成を踏襲しています。主砲はModèle 1948 54口径127mm連装砲を3基搭載。艦首甲板に1基、艦尾甲板と上部構造物上にそれぞれ1基ずつ配置されました。高角砲としては、Modèle 1951 60口径57mm連装砲を4基、艦橋直前と中部上構の両舷にそれぞれ2基ずつ搭載しました。この兵装により、デュプレ級は広範囲の脅威に対応できる能力を有していました。

ネームシップの改修と役割の変化

ネームシップであるデュプレは、1967年に試験艦へと艦種変更されました。ペナントナンバーもA 633に変更されています。この改修では、大型の可変深度ソナーが搭載されました。さらに、1972年から1974年にかけて、対潜指揮艦としての改修が行われました。従来の砲熕兵器は全て撤去され、主砲はMle.53 100mm単装砲1基に変更されました。また、エグゾセMM38艦対艦ミサイル、固定式の対潜魚雷発射管、マラフォン対潜ミサイル発射機が搭載されました。さらに、ヘリコプター甲板と哨戒ヘリコプター1機分のハンガーも設置され、対潜作戦における指揮能力が大幅に向上しました。

デュプレ級の意義

デュプレ級駆逐艦は、冷戦期におけるフランス海軍の対潜戦力強化に大きく貢献しました。シュルクーフ級で得られた経験と技術を基に、センサー・兵器システムの近代化を推し進めたことで、より効果的な対潜・対空能力を獲得しました。ネームシップの試験艦、対潜指揮艦への改修は、技術革新への対応と、艦艇の役割進化を示す事例として、海軍史において重要な位置を占めています。その存在は、フランス海軍の技術力と運用思想を反映した、重要な艦級と言えるでしょう。

もう一度検索