シュルクーフ級駆逐艦

シュルクーフ級駆逐艦：戦後フランス海軍の主力

シュルクーフ級駆逐艦は、第二次世界大戦で壊滅的な打撃を受けたフランス海軍の駆逐艦戦力を再建するため、戦後初めて国産で建造された艦級です。1949年から1952年にかけて12隻が建造され、その後のフランス海軍の近代化において重要な役割を果たしました。

設計と機関

本級は、空母護衛などの艦隊護衛任務を主任務とする艦隊護衛艦として設計されました。そのため、同時代の他の欧州諸国の駆逐艦と比較して大型化されています。その設計思想は、第二次世界大戦期のル・アルディ級駆逐艦と類似点を指摘されています。

推進機関は、戦前型の系譜を受け継ぐものでした。ACB/アンドレ缶ボイラーとラトー式タービンを4缶2機で組み合わせ、63,000馬力を発生しました。蒸気条件は、圧力35 kgf/cm²、温度385℃でした。この強力な機関により、高い速度と航続距離を確保していました。

兵装

シュルクーフ級は、対空・対水上戦闘能力を重視した汎用駆逐艦でした。主砲は、フランス製のModèle 1948 54口径127mm連装砲を3基搭載。艦首甲板に1基、艦尾甲板と上部構造物上に各1基ずつ配置することで、広い射界を確保していました。この砲はアメリカ製の5インチ砲弾薬と互換性があり、最大射程22,000m、毎分18発の発射速度を誇りました。

高角砲として、ボフォース社のM/50 57mm連装砲（Modèle 1951）を2基搭載。艦橋の前後と中部上構に配置することで、艦艇上空の防御を強化しました。

一方、対潜能力は当初十分に考慮されておらず、対潜爆雷投下軌条のみが備えられていました。しかし、運用開始後に対潜戦の重要性が増すと、イギリス製のヘッジホッグやスキッドなどの対潜迫撃砲の搭載も検討されましたが、結局は既存の550mm魚雷発射管を対潜誘導魚雷に対応させる改修にとどまりました。

改装

1960年代に入ると、シュルクーフ級は3つのグループに分けられ、それぞれ指揮統制能力、防空能力、対潜能力の強化改修を受けました。

指揮艦型

最初に改修されたのは、指揮統制能力強化型です。ネームシップを含む3隻が1960年代初頭に改修を受け、艦橋を拡大し、司令部用の居住区画を増設しました。57mm高角砲の一部と魚雷発射管を撤去して、指揮能力の向上を図りました。

防空型

「ケルサン」以下4隻は、1962年から1965年にかけてターターミサイルシステムを搭載する大規模な改修を受けました。「ケルサン級」と呼ばれることもあります。5インチ砲の一部と後部の57mm砲を撤去し、Mk.13単装ミサイル発射機とMk.74ミサイル射撃指揮装置2基を搭載しました。また、対空捜索レーダーもAN/SPS-39Aに換装されました。さらに、SENIT-2戦術情報処理装置を搭載し、防空能力を大幅に向上させました。対潜能力の強化も行われ、対潜ロケット発射機や新型ソナーが搭載されました。

対潜型

1968年から1970年にかけて、5隻が対潜能力強化改修を受けました。これは、1956年度計画で建造された「ラ・ガリソニエール」とほぼ同等の装備を搭載するものでした。艦橋前に対潜ロケット発射機、艦尾甲板にマラフォン対潜ミサイル発射機を設置し、新型ソナーも搭載しました。ヘリコプター搭載能力は付与されませんでしたが、対空・対水上能力も強化され、新型レーダーや100mm単装砲に換装されました。57mm高角砲は撤去されました。

運用史とその後

指揮艦型は比較的早期に退役しました。残りの艦艇も、ジョルジュ・レイグ級やカサール級といった新型駆逐艦によって更新され、役目を終えました。防空型の一部艦艇のミサイル発射機などは、後継艦であるカサール級に転用されました。シュルクーフ級は、戦後のフランス海軍の近代化を象徴する存在であり、その運用史はフランス海軍史において重要な位置を占めています。

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