デューイ十進分類法

デューイ十進分類法 (DDC) について

デューイ十進分類法（Dewey Decimal Classification, DDC）は、アメリカの図書館学者メルヴィル・デューイが1873年に考案した図書分類法です。1876年に初版が公刊されて以来、継続的に改訂が重ねられ、2011年には最新版となる第23版の印刷版が刊行されました。印刷版の完全版に加えて、小規模図書館向けの簡約版や電子版（WebDewey）も提供されています。

1988年以降、版権はOCLC（Online Computer Library Center）が所有し、改訂版の出版を行っています。現在では、OCLCとアメリカ図書館協会 (ALA) の合同による国際的な十進分類編集方針委員会 (EPC) が改訂方針を策定し、アメリカ議会図書館 (LC) 内のデューイ編集室が編集実務を担当しています。

分類法の仕組み

DDCは、0から9までのアラビア数字のみを用いる十進分類法です。まず、すべての資料は以下の10の主類 (main class) のいずれかに分類されます。

000 コンピュータサイエンス、情報および総記
100 哲学および心理学
200 宗教
300 社会科学
400 言語
500 自然科学および数学
600 技術
700 芸術
800 文学および修辞学
900 歴史および地理

この主類の順序は、フランシス・ベーコンの分類をウィリアム・ハリスが逆にした「逆ベーコン式」に基づいています。各主類はさらに10の綱 (division) に、そして各綱は10の目 (section) に分類されます。これにより、000から999までの1000の基本分類が構成されます。

より詳細な分類が必要な場合は、目の後にピリオドを置き、その後ろに小数を書くことで細分化を行います。分類記号は、最低でも3桁（類、綱、目）で構成され、先頭の0を省略することはできません（例：コンピュータは「004」）。広い分野を表す場合は、例えば「言語」であれば「4」ではなく「400」と表記します。ピリオドは小数点のように見えますが、数学的な意味はなく、単なる区切り記号です。基本的には0は特定の主題ではなく、その分野全体や総記的なものを表し、ピリオド以降で末尾に0が来ることはありません。

特徴と補助表

DDCは、分類表に主題と分類記号を列挙する列挙型分類法ですが、ファセット型（分析合成型）分類法のような側面も持ち合わせています。分類表に加えて、標準区分、地理区分、言語区分などを記した補助表が用意されており、これらの補助記号を組み合わせることで、図書の形式、言語、主題となる地域などをより詳細に表現できます。

初版から相関索引が収録されており、主題の名前から対応する分類記号を検索できます。この索引はデューイ自身も重要視しており、初版の段階からページ数の多くが割かれています。最新の第23版は、第1巻がマニュアルと補助表、第2巻と第3巻が分類表、第4巻が相関索引という構成になっています。

歴史と改訂

DDCは継続的に改訂されており、第13版まではデューイ自身も改訂に携わっていました。第15版では大幅な規模縮小が行われましたが、不評のためすぐに増補した第15版改訂版が発行され、第16版で従来の規模に戻されました。現在では、国際的な編集方針委員会が改訂方針を定め、アメリカ議会図書館 (LC) が改訂作業を行い、OCLCが発行しています。

利用状況

DDCは、世界で最も多く使われている分類法であり、135か国以上の20万館以上の図書館で採用されています。アメリカ合衆国では公共図書館の95%、大学図書館の25%が使用していますが、日本では公共図書館で1%、大学図書館で5%が主に洋書の一部または全部に使用しているに留まります。

まとめ

デューイ十進分類法は、図書館資料の組織化に不可欠な分類法です。継続的な改訂により、時代の変化に対応しながら、世界中の図書館で利用されています。

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