図書分類法

図書分類法：情報へのアクセスを容易にするための体系

膨大な数の図書を効率的に管理し、利用者が求める情報を迅速に提供するためには、体系的な分類が不可欠です。図書分類法とは、図書の主題や内容に基づいて分類する手法であり、図書館や情報機関において古くから用いられてきました。本稿では、図書分類法の歴史、主要な分類法、そして各国の分類法の変遷について解説します。

図書分類法の起源と発展

図書の分類は、古代メソポタミアのアッシュールバニパル図書館にまで遡ることができると言われています。同図書館では、既に歴史、法律、科学、魔術、教義、伝説の6種類に分類されていました。また、古代エジプトのアレクサンドリア[[図書館]]でも、10種類に分類されていたという記録が残っています。

イスラム世界では、10世紀後期のバグダードの書籍商イブン・アル・ナディームが著した『フィフリスト』が、図書分類の基本となりました。同書では、諸啓典、文法学・言[[語学]]、歴史、詩、イスラム神学、イスラム法学、哲学、伝説・魔術、非一神教宗教、化学の10部に分類しています。その後も、アル=ヌワイリーやキャーティプ・チェレビーらによって、分類法は改良・発展を続けました。

ヨーロッパでは、中世の「自由七科」と呼ばれる学問区分はありましたが、図書分類に直接的に用いられることはありませんでした。1[[7世紀]]のフランシス・ベーコンは、人間の精神活動を「理性」、「記憶」、「想像」の3分野に分類することを提唱し、この考え方は後の百科全書派や実証主義派にも影響を与えました。しかし、広く支持されるには至りませんでした。19世紀のジャック＝シャルル・ブリュネは、「フレンチ・システム」と呼ばれる分類法を考案しましたが、これも主要な分類法とはなりませんでした。

図書館における分類に基づいた配架を提唱したのはウィリアム・トーリー・ハリスです。彼の1870年の分類体系は、後の図書館運営に大きな影響を与えました。

主要な図書分類法

1876年、メルヴィル・デューイによって考案された「デューイ十進分類法（DDC）」は、世界中で広く用いられている主要な分類法です。科学技術の発展に伴い、DDCは何度か改訂され、より細分化された分類体系となっています。

その他、国際十進分類法（UDC）、ブリス書誌分類法（BC）、コロン分類法（CC）、アメリカ議会図書館分類表（LCC）、日本十進分類法（NDC）、国立国会図書館分類表（NDLC）、中国図書館分類法（CLC）、韓国十進分類法（KDC）など、多くの分類法が存在します。それぞれの分類法は、対象とする図書や利用者のニーズに合わせて設計されています。

各国の図書分類法の歴史

中国では、古くから図書分類と目録作成が盛んに行われてきました。前漢の『七略』や西晋の『中経新簿』など、古代中国には独自の分類法が存在しました。唐代には四部分類法が確立され、『四庫全書』にも適用されましたが、西洋の学問の流入によって、次第に国際十進分類法に基づく分類法への移行が進みました。現代中国では、「中国図書館分類法（CLC）」が用いられています。

日本においては、中国からの伝来の影響が強く、『日本国見在書目録』など、初期の目録は漢籍を対象としており、分類法も中国の分類法に倣っていました。鎌倉時代後期の『本朝書籍目録』は、日本独自の分類法の初期の例と言えます。明治維新後、欧米の分類法が導入され、「六門分類」、「八門分類」を経て、1928年に森清によって考案された「日本十進分類法（NDC）」が、公立図書館や学校図書館で広く用いられるようになりました。国立国会図書館では、「国立国会図書館分類表（NDLC）」が用いられています。

まとめ

図書分類法は、情報社会において、効率的な情報アクセスを可能にする重要な役割を担っています。その歴史は古く、各国の文化や社会情勢を反映しながら、常に進化を続けています。今後も、情報環境の変化に合わせて、図書分類法は発展していくことでしょう。

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