メルヴィル・デューイ

メルヴィル・デューイ（Melvil Dewey, 1851年12月10日 - 1931年12月26日）は、アメリカの図書館学者であり、図書分類法であるデューイ十進分類法（DDC）の考案者として広く知られています。彼の業績は、図書館の歴史において非常に重要な位置を占めており、世界中の図書分類法に多大な影響を与えました。なお、20世紀を代表する哲学者・教育学者であるジョン・デューイとは血縁関係はありません。

生涯

メルヴィル・ルイス・コシュート・デューイ（Melville Louis Kossuth Dewey）としてニューヨーク州に生まれたデューイは、アマースト大学に入学し、学生組織デルタ・カッパ・イプシロンのメンバーとなりました。1874年に大学を卒業後、1874年から1877年までアマースト大学の司書補として勤務し、この期間にデューイ十進分類法の基礎を築きました。その後、彼はボストンに移り、『ライブラリー・ジャーナル』誌を創刊しました。この雑誌は、アメリカの図書館運営に大きな影響力を持つようになりました。

デューイは、同僚の司書であるチャールズ・エイミー・カッターと共にアメリカ[[図書館協会]]（ALA）を設立し、1876年にフィラデルフィアで開催されたアメリカ[[図書館協会]]の第一回総会で声明を発表しました。同年、デューイは図書分類法で使用する用品を販売する会社としてライブラリー・ビューローを設立し、その経営にも関与しました。

1883年、デューイはコロンビア大学の司書兼教授に就任し、翌年には司書養成のための最初の機関であるコロンビア図書館学校（Columbia School of Library Economy）を設立しました。この学校は非常に成功し、1890年にはニューヨーク市内に移転し、ニューヨーク州立図書学校として発展的に再設立されました。また、1888年から1906年までニューヨーク州立図書館の監督を務め、1888年から1900年まではニューヨーク州大学校の秘書も兼任しました。彼の考案したデューイ十進分類法により、ニューヨーク州立図書館は全面的に刷新され、アメリカで最も機能的な図書館の一つとなりました。また、彼は各地を巡回する移動図書館や図書館における絵画収集のシステムも構築しました。1890年には、ニューヨーク図書館協会（NYLA）の設立に協力し、初代代表として1892年まで務めました。

デューイは、図書館運営のために英語の綴りの改良も提唱しました。イギリス英語で「catalogue」と綴る単語を、アメリカ英語では「catalog」と綴るように主張し、自身の名前の綴りも「Melvil Dui」と簡略化しました。また、彼は人工言語であるRoの雑誌のスポンサーにもなりました。

しかしながら、デューイの独特な考え方は、今日では大きな議論の対象となっています。彼は人種差別主義者であり、アフリカ系アメリカ人（黒人）や他の少数民族を排斥する考えを示し、反ユダヤ主義、反フェミニズムの思想も持っていたことが指摘されています。

1931年、80歳で亡くなったデューイの功績を称え、1951年には、アメリカ[[図書館協会]]が選定した「図書館殿堂」（Library Hall of Fame）に、近代図書館で指導的な役割を果たした40人の一人としてその名が加えられました。

参考文献

ウェイン・Ａ・ウィ－ガンド 著、川崎良孝, 村上加代子 訳『手に負えない改革者 : メルヴィル・デューイの生涯』京都大学図書館情報学研究会、2004年9月。ISBN 4820404164。

脚注

特になし

関連項目

図書館
図書館学
図書館分類法
[デューイ十進分類法]
ウィリアム・フレドリック・プール
本好きの下剋上

外部リンク

Melvil Deweyの作品（インターフェイスは英語）- プロジェクト・グーテンベルク

もう一度検索