デリーの戦い (1803年)

デリーの戦い

デリーの戦い、あるいはパトパルガンジの戦いは、1803年9月11日にインドのデリーで発生した、イギリス東インド会社とシンディア家の間での重要な戦闘です。この戦闘は、第二次マラーター戦争の一部として位置づけられており、イギリス軍の完全な勝利がもたらされました。戦闘においては、イギリス側の将軍が綿密な準備のもとで指揮を執ったため、その結果は特に意義深いものであったとされています。（ブライアン・ガードナーによる評価）また、この戦いの結果として、ムガル帝国の皇帝であるシャー・アーラム2世がシンディア家からの保護を離れ、イギリスに依存する状況となりました。

戦闘に至る経緯

1803年、インドの情勢は緊迫していました。9月4日、イギリス側の指揮官ジェラルド・レイクは、アリーガルを占領しつつ、ムガル帝国の首都であるデリーを目指すことを決定しました。デリーはシンディア家にとって非常に重要な都市であり、かつてはマハーダージー・シンディアが帝国の実権を握った後に、皇帝シャー・アーラム2世の保護下にあった場所でもあります。そのため、シンディア家にとっても防衛が鍵となる地点でした。

9月7日には、レイクはアリーガルを出発し、デリーへの進軍を開始しました。彼の目標はシンディア家の軍を駆逐し、デリーを掌握することでした。

戦闘の展開

1803年9月11日、レイクはついにデリーを攻撃しました。この戦闘は、デリーの一角、パトパルガンジやフマーユーン廟からヤムナー川にかけて行われました。シンディア家は当初、強固な陣地を築いて抵抗しましたが、その防衛には限界がありました。特に、シンディア家のフランス人軍事顧問がすでに逃亡していたため、指導力の欠如も影響したと考えられます。

ジェラルド・レイクは、一時的に騎兵による攻撃を仕掛け、撤退させることに成功しますが、マラーターの兵士たちは逆に塹壕から飛び出して反撃を試みました。これに対して、イギリスの騎兵部隊は二手に分かれてマラーター歩兵を包囲し、厳しい攻撃を行いました。最終的には、レイク自身が一個連隊を率いた銃剣突撃が功を奏し、シンディア家の軍は大きな損害を受けることとなりました。

3日後の9月14日、デリー市は降伏し、シンディア家の軍は撤退を余儀なくされました。

戦後の状況

勝利の後、ジェラルド・レイクはムガル帝国の皇帝シャー・アーラム2世に使節を送り、自らの勝利を報告し祝いました。16日、皇子アクバルの案内でデリー城内の王宮に入ると、皇帝に面会し、その後の情勢についての詳細な報告を行ったとされています。リチャード・ウェルズリーは、皇帝を保護できたことを非常に喜び、シャー・アーラム2世は改めてイギリスの庇護下に置かれることになりました。

このようにして、デリーの戦いは、イギリス東インド会社によるインド支配の強化を象徴する出来事となり、さらにジェラルド・レイクはデリーを離れた後、10月4日にアーグラも占領しました（アーグラの戦い）。

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