デンマーク王立図書館

デンマーク王立図書館：知識の殿堂と革新的な建築

デンマーク王立図書館（Det Kongelige Bibliotek）は、コペンハーゲンに位置するデンマークの国立図書館であり、コペンハーゲン大学の大学図書館としての役割も担っています。北欧諸国の中で最大規模を誇り、デンマークの歴史と文化を象徴する重要な施設です。

歴史

1648年、フレデリク3世によって創設されたこの図書館は、ヨーロッパ全体の包括的なコレクションを出発点としています。当初は王室関係者や学者のみに利用が限られていましたが、1793年に一般開放され、蔵書目録も整備されました。1906年にはスロッツホルメンに移転し、その後、コペンハーゲン大学図書館やデンマーク国立科学医学図書館との合併を経て、2006年に現在の名称となりました。2008年にはデンマーク民俗学アーカイブを吸収合併し、そのコレクションはさらに充実しました。

現在の王立図書館

現在、図書館はコペンハーゲン市内の4箇所に分散しています。ゴーター通り分館は社会科学や法学、アマー島分館は人文学、Nørre Alle 分館は自然科学と医学を専門としています。そして、スロッツホルメンの本館には、あらゆる分野の書籍と貴重な特別コレクションが収蔵されています。

旧館

スロッツホルメンにある旧館は、1906年にハンス・ヨルゲン・ホルムによって建設されました。中央ホールはアーヘン大聖堂のカール大帝の宮殿礼拝堂を模したもので、荘厳な雰囲気を醸し出しています。前庭にはセーレン・キェルケゴールの像が置かれ、図書館の歴史と文化を象徴する存在となっています。

ブラックダイアモンド

1999年、旧館の隣に新館「ブラックダイアモンド（Den Sorte Diamant）」が建設されました。シュミット・ハマー・ラッセンによって設計されたこの建物は、黒い大理石とガラスで覆われた斬新なデザインが特徴です。図書館としての機能に加え、コンサートホールも併設されており、文化的な拠点としての役割も担っています。

ブラックダイアモンドは、2つの黒い立方体で構成され、その間にはガラスで覆われたアトリウムがあります。アトリウムからは海などの景色を眺めることができ、開放感あふれる空間となっています。旧館とブラックダイアモンドは渡り廊下で繋がっており、そのうち最大の渡り廊下の天井には、ペー・キルケビュの巨大な絵画が飾られています。

重要なコレクション

王立図書館は、カール・フォン・リンネの著書や関連資料、オットー・トットの写本コレクション、ハンス・クリスチャン・アンデルセンやセーレン・キェルケゴールの手稿など、貴重なコレクションを多数所蔵しています。これらのコレクションは、デンマークの歴史や文化を研究する上で欠かすことのできないものです。特に、リンネのコレクションとアンデルセンの手稿は、ユネスコの世界の記憶に登録されています。

本の盗難事件

1968年から1978年にかけて、図書館では大規模な書籍盗難事件が発生しました。マルティン・ルターの出版物や、イマヌエル・カント、トマス・モア、ジョン・ミルトンの初版本など、1,600点もの歴史的書籍が盗まれました。犯人は図書館の東洋部門の責任者であり、盗んだ本をオークションで売りさばいていました。事件は2003年に解決し、盗まれた書籍の多くが回収されました。

館長

初代館長はペーダー・グレフェンフェルトです。その後、ダニエル・ゴットヒルフ・モルデンハウアー、J. H. シュレーゲル、ヨン・エリクセン、Chr. ブルーン、ハンス・J・ホルムらが館長を務め、図書館の発展に貢献してきました。

デンマーク王立図書館は、その歴史的価値と革新的な建築デザインにより、デンマークを代表する文化施設として、国内外から多くの人々が訪れています。

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