デヴィッド・ゲイツ

デヴィッド・ゲイツ：ソフトロックの巨匠、その音楽的軌跡

デヴィッド・ゲイツ（David Gates）は、1940年12月11日、アメリカ合衆国オクラホマ州タルサに生まれました。彼は、1970年代に一世を風靡したソフトロックバンド、ブレッド（Bread）のリーダーとして知られています。作詞・作曲、プロデュース、アレンジ、さらにはベース、ギター、キーボード、ボーカルまでこなす、まさにマルチな才能を持つミュージシャンです。

音楽一家に育まれた才能

父親がタルサのオーケストラの指揮者、母親も音楽教師という音楽一家に育ったゲイツは、幼い頃から音楽に囲まれた環境に身を置いていました。ハイスクールに進学する頃には、すでに多くの楽器をマスターしており、レオン・ラッセルとアクセンツというバンドを結成し、タルサを訪れたチャック・ベリーなどのプロミュージシャンのバックバンドを務めた経験もあります。

ソングライター、プロデューサーとしての活躍

1959年、ロサンゼルスでシングル「Walkin' And Talkin'」をリリースし、ソロデビューを果たします。その後、スクリーン・ジェムス・コロンビアと契約し、ブリル・ビルディング系のソングライター、プロデューサー、アレンジャー、セッションミュージシャンとして活動しました。1963年には、マーメイズの「Popsicles And Icicles」が全米3位の大ヒットとなり、彼のソングライターとしての才能が広く知られるようになります。他にも、モンキーズ、アン・マーグレット、ブレンダ・リー、コニー・スティーヴンス、キャプテン・ビーフハート・アンド・ヒズ・マジック・バンド、ボビー・ヴィー、ジョニー・クロフォード、グレン・ヤーブローなど、数多くのアーティストに楽曲を提供しました。

ブレッドの結成と成功

1967年、レオン・ラッセルの紹介で、ロブ・ロイヤーが率いるプレジャー・フェア (The Pleasure Fair) というフォークロックバンドのプロデュースとアレンジを担当します。この仕事がきっかけとなり、1968年にブレッドが結成されました。

ブレッドは、ポップ、ロックサウンド、美しいメロディを融合させた独自の音楽性で、数々のヒット曲を生み出しました。「イフ」、「二人の架け橋」（Make It with You）、「愛のわかれ道」（Baby I'm-a Want You）など、ゲイツが作詞作曲を手がけた楽曲は、多くの人々の心に響き、バンドは一躍人気グループとなります。1971年の映画『バニシング・ポイント』には、デラニー&ボニー&フレンズの一員としてキーボードを演奏するゲイツの姿が映っています。

さらにブレッドは、「灰色の朝」「ギター・マン」「スイート・サレンダー」「オーブレー」など、数々の名曲を発表し、その人気を不動のものとしました。1973年には、初のソロアルバムをリリースしています。

ソロ活動とその後

1977年、リチャード・ドレイファス主演の映画『グッバイガール』の主題歌「グッバイガール」を手がけ、自ら歌唱しました。この曲は全米15位のヒットを記録しています。

ブレッド解散後、バックメンバーにラリー・ネクテル、マイク・ボッツを起用し、「デヴィッド・ゲイツ&ブレッド」名義でソロライブ活動を行いましたが、ジェイムス・グリフィンから訴訟を起こされ、1984年に和解するまでブレッドの印税が差し止められるという事態も経験しました。

1998年には、第16回コモンウェルスゲームズの公式テーマ曲「Standing In The Eyes Of The World」を担当しました。

これまでに7作のソロアルバムを発表しており、2007年以降はリタイア状態となっています。

ディスコグラフィ

『ファースト』 - First (1973年)
『誓いの明日』 - Never Let Her Go (1975年)
『グッバイ・ガール』 - Goodbye Girl (1978年)
『フォーリン・ラヴ・アゲイン』 - Falling in Love Again (1980年)
『テイク・ミー・ナウ』 - Take Me Now (1981年)
『ラヴ・イズ・セヴンティーン』 - Love Is Always Seventeen (1994年)
* コンピレーション・アルバム多数

デヴィッド・ゲイツは、その卓越した音楽的才能と甘い歌声で、時代を超えて多くの人々に愛され続けています。彼の楽曲は、これからもソフトロックの代表として、人々の心に深く刻まれることでしょう。

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