デーヴァ・ラーヤ2世

デーヴァ・ラーヤ2世の生涯と業績

デーヴァ・ラーヤ2世（生年不詳 - 1446年）は、南インドのヴィジャヤナガル王国を治めた重要な君主であり、その統治は1422年から1446年まで続きました。彼は、前任者であるデーヴァ・ラーヤ1世からの流れを引き継ぎ、サンガマ朝のもとで国を支えました。

軍制改革と軍事力の強化

15世紀の初め、ヴィジャヤナガル王国はバフマニー朝の脅威に直面していました。具体的には、フィールーズ・シャー・バフマニーのもとでバフマニー朝が力を増し、王国の安定を脅かしていたのです。デーヴァ・ラーヤ2世が即位すると、彼は軍事体制の改革に着手しました。この改革では、ヒンドゥー教徒の兵士だけでなく、ムスリムをも軍隊に加え、さまざまな戦術や技術を取り入れました。

彼の軍は、弓術に優れた6万人のヒンドゥー兵を含む8万人の騎兵と20万人の歩兵を擁していたと、ペルシアの歴史家フィリシュタは述べています。この強化された軍隊のおかげで、ヴィジャヤナガル王国は逆に攻勢に出ることができ、バフマニー朝の都であるグルバルガにも進出しました。その結果、1425年から1426年にかけてバフマニー朝は都市をビーダルに移さざるを得なかったのです。

平和政策と宗教寛容

デーヴァ・ラーヤ2世は、軍事力の強化だけでなく、ムスリムとの和睦にも注力しました。彼は軍制改革によってムスリムを追放することなく、むしろ国内にモスクを建設することを許可し、婚姻関係や貢納を通じて平和を維持しました。このようにして、ヴィジャヤナガル王国はヒンドゥー教徒とイスラーム教徒が共存する宗教的に寛容な社会となりました。これにより、デーヴァ・ラーヤ2世は「ヒンドゥーの王にしてスルターン」という称号を名乗り、両者の共存を象徴しました。

外交と交易

また、デーヴァ・ラーヤ2世の治世では、西アジアとの対外交易も活発に行われました。特にイランからの使節が訪れるなど、国際的な交流が盛んになりました。旅行家であるアブドゥル・ラッザークは、ヴィジャヤナガルの人々が豊かで、都市も農村も人口であふれていると記しています。この点は他の旅行者からも一致して述べられており、当時の国力の証明です。

終焉と後継者

しかし、1446年にデーヴァ・ラーヤ2世が亡くなると、彼の子であるデーヴァ・ラーヤ3世が王位を継承しました。この交代により、ヴィジャヤナガル王国は次第に衰退し、バフマニー朝やオリッサのガジャパティ朝の侵攻を受けることになります。デーヴァ・ラーヤ2世の時代は、軍事的な成功と多文化共存の象徴であり、その後の王国の運命に大きな影響を与えました。

参考文献

• - 辛島昇『新版 世界各国史7 南アジア史』山川出版社、2004年。
• - 辛島昇『世界歴史大系 南アジア史3―南インド―』山川出版社、2007年。
• - Dr. Suryanath U. Kamat, Concise history of Karnataka, MCC, Bangalore, 2001 (Reprinted 2002)

デーヴァ・ラーヤ2世の統治は、彼の軍事的功績だけでなく、宗教的多様性と国際交流が促進された時代としても評価されています。この時期の歴史は、現在のインドにおいても重要な意義を持ち続けているのです。

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