トゥクムカリ

トゥクムカリ：ルート66のオアシス、伝説と映画の街

トゥクムカリは、アメリカ合衆国ニューメキシコ州クウェイ郡の郡庁所在地であり、人口約5,000人の都市です。1901年に創設され、その2年後にクウェイ郡が設立されました。ルート66沿いの主要都市として、その歴史と文化は深く根付いています。

地理

トゥクムカリは、北緯35度10分、西経103度43分に位置し、総面積は約19.6平方キロメートルです。そのほとんどが陸地であり、わずかな水域が存在します。周辺は広大な平原が広がっており、特徴的なメサ（テーブル状の台地）が点在する風景が印象的です。

伝説

トゥクムカリの地名には、悲しい愛の伝説が秘められています。アパッチ族の酋長の娘カリを巡る、二人の勇者トノパーとトコムの争い。死闘の末にトコムが倒れ、カリはトノパーを刺し、自らも命を絶ちます。その光景を見た酋長は、娘のナイフで自害し、「トコム…カリ！」と叫んだと言われています。この酋長の最後の言葉が変化し、「トゥクムカリ」という地名になったと伝えられています。

別の説では、「トゥクムカリ」はコマンチェ語で「待ち伏せの場所」を意味する「トゥクヌカル」に由来するとも言われています。かつてメサがコマンチェ族の監視所として利用されていたことから、この説もまた、歴史的な背景を持っています。

文化

トゥクムカリは、映画や音楽の舞台としても知られています。

クリント・イーストウッド主演のテレビドラマ『ローハイド』のロケ地
セルジオ・レオーネ監督の映画『夕陽のガンマン』の主要な舞台
ジェームス・テイラー出演の映画『Two-Lane Blacktop』の撮影地
映画『レインマン』で言及される街
トルーマン・カポーティの小説『冷血』に登場
ジョン・デンバーの「Last Hobo」やリトル・フィートの「Willin」などの楽曲に登場

これらの作品を通して、トゥクムカリの名前は広く知られるようになりました。

ルート66のモーテル街

トゥクムカリは、ルート66沿いのモーテル街として最も有名です。かつて州間高速道路40号線が開通するまでは、ルート66は主要な幹線道路であり、トゥクムカリはテキサス州アマリリョとニューメキシコ州アルバカーキを結ぶハイウェイ上の最大の都市として、多くの旅行者で賑わいました。「TUCUMCARI TONITE!」と書かれた看板が、旅行者たちをトゥクムカリのモーテルへと誘いました。

現在でも、1930年代から1950年代にかけて建てられた数多くのビンテージモーテルやレストランが営業しており、ネオンサインが輝く夜の街並みは、まるで小さなラスベガスのような雰囲気を醸し出しています。これらのモーテルやレストランは、新しいチェーン店との競争を繰り広げながらも、ルート66の歴史と文化を今に伝えています。

トゥクムカリは、その豊かな歴史と文化、そしてルート66の面影を今に残す魅力的な街です。アメリカを旅する際には、ぜひ立ち寄ってみてください。

もう一度検索