トゥプア・タマセセ・メアッオレ

トゥプア・タマセセ・メアッオレ：サモア独立の立役者

トゥプア・タマセセ・メアッオレ（1905年6月3日 - 1963年4月5日）は、西サモア独立国（現在のサモア独立国）の初代国家元首（オ・レ・アオ・オ・レ・マーロー）を務めた人物です。1962年の独立からその翌年まで、激動の時代におけるサモアの舵取りを担いました。

生い立ちとトゥプア・タマセセの称号

1905年、メアッオレはトゥプア・タマセセ・レアロフィオアッアナ1世の三男として誕生しました。トゥプア・タマセセは、サモア社会において特別な権威を持つ4つの大首長（タマ・ア・アイガ）の一つであり、その称号は一族の長に受け継がれます。19世紀以降、ドイツ、イギリス、アメリカといった外国勢力がサモアに進出する中で、タマセセ一族は他の大首長たちと覇権を争いました。1899年にドイツによる植民地支配が確立するまでには、マリエトア、マタアッファ、トゥマレイリッイファノと並び、サモアにおける四大首長としての地位を確立しました。

独立運動と国家元首就任への道

第一次世界大戦後、西サモアはドイツの支配から脱し、ニュージーランドの委任統治領となりました。しかし、ニュージーランドの初期の統治は不適切であり、スペイン風邪の流行時に不適切な検疫を行った結果、人口の22%が死亡するという事態を招き、これが独立運動であるマウ運動の引き金となりました。1929年12月28日、ニュージーランド軍がサモアの群衆に発砲した「黒い土曜日事件」で、当時のトゥプア・タマセセであった兄のトゥプア・タマセセ・レアロフィオアッアナ3世が死亡したため、メアッオレがトゥプア・タマセセの称号を継承することになりました。

その後、1936年にニュージーランドで労働党政権が成立すると、サモアに対する政策は転換期を迎えます。ニュージーランドは、タマ・ア・アイガの影響力を統治に活用し、現地のサモア人との融和を図る政策へと移行しました。その一環として、ニュージーランドから派遣される高等弁務官を、タマ・ア・アイガから選ばれた2名が顧問（ファウトゥア）として補佐する体制が導入されました。1959年には、独立に向けた準備段階として、国家元首に相当する組織として、高等弁務官とタマ・ア・アイガ2名からなる国務会議が設置され、メアッオレとマリエトア・タヌマフィリ2世がそのメンバーに選ばれました。さらに、メアッオレとタヌマフィリ2世は、新憲法の起草と独立の準備を担当する委員会の共同議長も務めました。

サモア独立と共同国家元首

メアッオレとタヌマフィリ2世の特別な地位は、新憲法においても尊重されました。新憲法では、国家元首（オ・レ・アオ・オ・レ・マーロー）の地位について、定員1名、選挙制、任期5年という一般規定とは別に、メアッオレとタヌマフィリ2世という特定の個人を対象とした特別規定が設けられました。この規定により、両者は独立と同時に共同で国家元首に就任し、死亡、辞任、罷免によってその地位を失うまで終身その地位を保つこととなりました。

1962年1月1日、サモアが西サモア独立国として独立を果たすと、メアッオレは憲法の規定に従ってタヌマフィリ2世と共にオ・レ・アオ・オ・レ・マーローに就任し、翌1963年4月5日に57歳で死去するまでその職を務めました。タヌマフィリ2世は、その後2007年に死去するまで単独で国家元首を務めました。

メアッオレの死後、トゥプア・タマセセの称号は甥のトゥプア・タマセセ・レアロフィオアッアナ4世が継承し、1983年にレアロフィオアッアナ4世が死去すると、メアッオレの子息であるトゥプオラ・トゥフガ・エフィが称号を継承しました。

トゥプア・タマセセ・メアッオレは、サモアの独立という歴史的転換期において、国家の安定と発展に大きく貢献した人物として、その名が刻まれています。

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