トゥヴァ人民共和国

トゥヴァ人民共和国：シベリアの独立国家とその歴史

トゥヴァ人民共和国は、シベリア南部、アルタイ山脈周辺に存在した独立国家です。テュルク系民族であるトゥバ人を中心としたこの国家は、複雑な歴史を経て、現在はロシア連邦のトゥヴァ共和国として存続しています。元来、この地域は「タンヌ・ウリャンカイ」と呼ばれ、元朝、オイラト、清朝など様々な勢力の支配下にありました。

清朝支配とロシアの進出

18世紀、清朝はジュンガル・ホンタイジ国を滅ぼしてタンヌ・ウリャンカイを併合しましたが、これにより、これまで緩衝国として機能していたジュンガルが消滅し、ロシア帝国の南下を招くことになりました。ロシアは1839年頃からこの地域への入植を開始し、金鉱山の開発などを通じて影響力を拡大していきました。1911年まで名目上は清の領土ではありましたが、ロシアの保護国となり、独立運動を経て、東部のフブスグル湖周辺を割譲することとなりました。

トゥヴァ人民共和国の成立とソ連化

1917年のロシア革命後、1920年にロシアの共産軍がこの地域に進攻。続く混乱の中で、1921年8月14日、ボリシェヴィキによってトゥヴァ人民共和国が建国されました。当初は「タンヌ・トゥバ」と呼ばれ、1926年にソ連とモンゴル人民共和国から独立を承認されましたが、その他の国々からは承認されませんでした。

初代指導者ドンドゥク・クーラルはチベット仏教を国教とし、ソ連からの移住者やプロパガンダを制限、モンゴルとの関係強化を図りました。しかし、この姿勢はソ連の警戒を招き、1929年にはクーラルが逮捕され、スターリンに忠実な政府が成立しました。この新たな政府は、仏教をはじめとする伝統的な信仰を弾圧し、遊牧民の生活様式の改革と共産化を強行しました。ラマや僧侶の数は激減し、遊牧民の生活も大きく変化を余儀なくされました。

第二次世界大戦では、1941年6月25日に連合国として参戦。そして1944年、トゥヴァ小人民会議（小フラル）はソ連への併合を決定し、国民投票を経ることなくソ連の自治共和国となりました。

ソ連領時代と現在

ソ連に併合された後、トゥヴァはトゥヴァ自治州（1944年-1961年）、トゥヴァ自治ソビエト社会主義共和国（1961年-1992年）として存在しました。ソ連崩壊後も、ロシア連邦の構成体としてトゥヴァ共和国として存続しています。独立運動も存在しますが、ロシア経済への依存や住民のロシア化が進んでいるため、その勢いは弱いです。

切手

トゥヴァ人民共和国は1926年から独自の切手を発行しており、その独特のデザインや歴史的価値から、一部の切手収集家の間で高い人気を誇っています。

まとめ

トゥヴァ人民共和国の歴史は、周辺大国との複雑な関係、独自の文化と伝統、そしてソ連との併合という激動の時代を反映しています。現在、ロシア連邦の一部として存在するトゥヴァ共和国ですが、その歴史はシベリアの歴史、ひいては世界の歴史を理解する上で重要な要素となっています。

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