トウネン

トウネン (Calidris ruficollis)

概要

トウネンは、チドリ目シギ科に属する小型の鳥で、学名は Calidris ruficollis です。彼らはその生活史や生息地において、特異な特徴を持つことで知られています。特に、冬季に異なる地域に移動する習性を持つことから、多くの人々に親しまれている種類です。

分布

トウネンは、主に夏にシベリアの北東部やアラスカのツンドラ地方で繁殖します。冬になると、彼らは東南アジアからオーストラリア、ニュージーランドのエリアへと移動し越冬します。日本では、春と秋の渡りの際に立ち寄る旅鳥として全国各地で観察されます。九州以南では越冬する個体も少なくありません。特に、彼らの姿は小型シギの中で最も一般的に見られます。

形態

トウネンは全長が約14センチから15センチと、小型のシギの一種です。その翼を広げた長さは約29センチに達します。彼らは、短いくちばしと足を持ち、名前の由来でもあるように、さながら最近生まれた赤子を思わせる愛らしい体型をしています。

成鳥が夏羽の際は、顔や胸、背中が赤褐色を呈し、翼には黒い筋があり、羽先は白色です。対照的に体の下面は白く、冬羽になると全体的に灰褐色となります。トウネンでは、オスとメスの外見に差はなく、雌雄同色です。

生態

非繁殖期においては、トウネンは干潟や水田、湿地などで見られます。彼らは砂泥地を好み、そこに生息する昆虫やゴカイ類、小型の甲殻類を捕食します。群れで行動することが多く、かつて日本では万単位の群れが観察されましたが、最近では数百羽ほどの群れが一般的です。彼らの鳴き声は「チュリッ」や「チュイ」といった特徴的な音を発します。

保全状況

トウネンは、国際自然保護連合（IUCN）によって軽度懸念（LC）と評価されていますが、日本各地ではその保全状況に対する懸念も高まっています。特に京都府では絶滅危惧種として扱われており、旅行者としての飛来が減少する傾向にあります。神奈川県や東京都、大阪府、滋賀県、千葉県なども、各々のレッドリストでの指定を受けています。

近縁種

トウネンには、オジロトウネン（Calidris temminckii）やヨーロッパトウネン（Calidris minuta）などが近縁種として知られています。

参考文献

• - 叶内拓哉、安部直哉『山溪ハンディ図鑑7　日本の野鳥』山と溪谷社、2006年
• - 真木広造他『日本の野鳥590』平凡社、2000年
• - 桐原政志『日本の鳥550 水辺の鳥』文一総合出版、2000年

関連項目

• - 日本の野鳥一覧
• - トウネンの標本 （山階鳥類研究所）
• - トウネン （日本野鳥の会）

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