トキイロコンドル

トキイロコンドル（Sarcoramphus papa）

概要

トキイロコンドルはコンドル科に属する大型の鳥類で、主にメキシコ南部からアルゼンチン北部にかけての熱帯低地林に生息しています。中央アメリカおよび南アメリカに広がるこの種は、現存するトキイロコンドル属の唯一の種で、化石種も存在します。羽毛は主に白色で、灰色や黒色の羽とカラフルな頭部の皮膚が特徴です。

分類と名称

1758年にカール・フォン・リンネによって記載され、その後、アンドレ・マリー・コンスタン・デュメリルがトキイロコンドル属に区分しました。属名は「肉」を意味するギリシア語に由来しています。特に英名である「King vulture」は、他のコンドルを追い出して摂食する行動に由来しているとも言われています。

形態

この鳥は全長67-81cm、翼開長1.2-2m、体重は2.7-4.5kgに達します。羽毛は鮮やかな白色で、頭部は赤や紫、オレンジ色をしています。性別による明確な違いはないものの、若鳥は成鳥とは異なり、全体的に灰色の羽毛を持ちます。

生息地

トキイロコンドルは主に手つかずの熱帯低地林やサバンナで見られ、標高1500m未満の地域が繁殖地です。時に標高3250mまで生息することもありますが、比較的標高の低い地域を好みます。

生態と行動

少ない羽ばたきで数時間飛翔し、通常は単独または家族単位で生活します。食事は主に死肉を中心にしており、視覚で餌を探しますが、最近の研究で嗅覚も使用している可能性が議論されています。

また、鳴管を持たないため声はあまり出さず、主に求愛行動の時に低い音を出します。卵や幼鳥に対しては、ヘビなどの捕食者が脅威となります。

繁殖

繁殖は主に乾季に行われ、雌は通常、1個の斑点のない白い卵を産み、52-58日で孵化します。生まれた雛は無力ですが、急速に成長し、数日で活発に動き回ります。

食性

幅広く死肉を食べる能力を持ち、高いカロリー源を確保しています。牛やサル、魚などを食する他、時には小動物も捕食することがあります。特に、この鳥は他のコンドルと協力して食物を探すことも知られています。

脅威と保全

現在、トキイロコンドルはIUCNのレッドリストで低危険として分類されていますが、個体数は生息地の破壊や密猟により減少傾向にあります。野生の個体数は1万から10万羽と推定されていますが、その増減には注意が必要です。

人間との関係

トキイロコンドルはマヤの文化において重要な象徴であり、さまざまな文献に登場します。また、動物園でも人気のある展示種となっており、エルサルバドルやベリーズなどの国々の切手にも描かれています。

このように、トキイロコンドルはその美しさとユニークな生態で多くの人々に愛されている存在であり、今後も保護が求められる種です。

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