トニー・クーコッチ

トニー・クーコッチ：バスケットボール界のユーティリティプレイヤー

トニー・クーコッチ（Toni Kukoč）は、1968年9月18日生まれ、クロアチア・スプリト出身の元プロバスケットボール選手です。ヨーロッパでその才能を開花させた後、NBAのシカゴ・ブルズなどで活躍し、現在はブルズの相談役を務めています。長身ながらもアウトサイドシュートやパスを得意とし、スモールフォワードを中心に複数のポジションをこなすことができる、万能なプレースタイルが特徴でした。

ヨーロッパでの活躍

クーコッチは、KKスプリト時代にユーロリーグを2度制覇するなど、ヨーロッパのバスケットボール界で輝かしい実績を残しました。そのプレースタイルから「ヨーロッパのマジック・ジョンソン」とも呼ばれ、1990年のバスケットボール世界選手権ではMVPに輝いています。1990年のNBAドラフトでシカゴ・ブルズから指名を受けた後も、イタリアのベネトン・トレヴィーゾでプレーを続け、ヨーロッパでのキャリアを積みました。

NBAでの挑戦

1993年、クーコッチはシカゴ・ブルズに加入。マイケル・ジョーダン引退直後のチームで、主にスコッティ・ピッペンの控えとして活躍しました。1995-96シーズンには、ジョーダンの復帰とデニス・ロッドマンの加入により再び控えとなりましたが、チーム3位の得点を挙げ、シックスマン賞を受賞。ブルズの2度目の3連覇に貢献しました。

ブルズ退団後は、フィラデルフィア・セブンティシクサーズ、アトランタ・ホークス、ミルウォーキー・バックスでプレーし、2006年に現役を引退しました。

プレースタイルと評価

クーコッチは、長身を生かした3ポイントシュートと広い視野を持ち、バスケットボールにおける5つのポジションを全てこなすことができる、NBA屈指のユーティリティプレイヤーでした。「ヨーロッパのマジック・ジョンソン」の異名を持ち、得点能力とパスセンスを兼ね備えていました。

ブルズでは、その万能性とシュート力を買われ、シックスマンとしてチームの黄金期を支えました。ただし、フィジカルの強さは特筆すべきものではなく、屈強なインサイドプレイヤーとのマッチアップでは苦戦する場面も見られました。

人物像

バスケットボールを始める前は卓球選手として活躍し、14歳で全国優勝を果たした経験を持ちます。また、ボウリングも得意で、ブルズ時代にはチームのボウリング大会で優勝したこともあります。

2021年9月には、バスケットボール殿堂入りを果たし、マイケル・ジョーダンやスコッティ・ピッペンらチームメイトへの感謝の意を示しました。NBAオールスターゲームに出場経験のない選手が殿堂入りするのは、ドラジェン・ペトロヴィッチに次いで2人目です。

クーコッチは、ヨーロッパ出身選手としてNBAで成功を収めたパイオニアの一人であり、その多才なプレースタイルとチームへの貢献は、多くのファンに記憶されています。

主な実績

ユーロリーグ優勝：1989, 1990
バスケットボール世界選手権MVP：1990
シックスマン賞：1996
NBA優勝：1996, 1997, 1998
* バスケットボール殿堂：2021

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