トニー・ペーニャ

アントニオ・ペーニャ：ドミニカが生んだ名捕手、監督としても手腕を発揮

アントニオ・フランシスコ・ペーニャ・パディーヤ（Antonio Francisco Pena Padilla, 1957年6月4日 - ）は、ドミニカ共和国モンテ・クリスティ州出身の元プロ野球選手（捕手）であり、現在は指導者としても活躍しています。右投右打。

現役時代：強肩と打撃でパイレーツを支える

1975年にピッツバーグ・パイレーツと契約し、プロとしてのキャリアをスタートさせました。1980年9月1日にメジャーデビューを飾ると、持ち前の強肩と粘り強い打撃で存在感を示し、1981年には66試合に出場、規定打席には届かなかったものの打率.300を記録しました。

1982年には打率.296、11本塁打、63打点という好成績を残し、オールスターに初選出。その後も通算5回選出されています。1983年には打率3割（.301）をマークし、初のゴールドグラブ賞を受賞。以後、3年連続を含む4回受賞しました。

1980年代半ば頃のパイレーツは低迷期にありましたが、ペーニャはチームを支え続けました。1986年オフには、デーブ・ジョンソン監督率いるメジャーリーグオールスターの一員として来日。ゲイリー・カーターのキャンセルやリッチ・ゲドマンの負傷により、ほぼ全試合でマスクをかぶり、打撃でも2本塁打を放つ活躍でMVPを受賞。落合博満（当時ロッテ）を座ったまま二塁へ送球して牽制アウトにしたプレーは、日本のファンを唸らせました。

1987年開幕直前にアンディ・バンスライクら3選手とのトレードで、セントルイス・カージナルスへ移籍。同年は故障の影響もありましたが、自身初のワールドシリーズ出場を果たし、ミネソタ・ツインズとの対戦では43打数17安打（打率.395）、4打点を記録しました。

その後、ボストン・レッドソックス（1990年）、クリーブランド・インディアンス（1994年）、シカゴ・ホワイトソックス、ヒューストン・アストロズ（1997年）と渡り歩き、1997年を最後に現役を引退しました。

引退後：監督としてカリビアンシリーズを制覇、WBCドミニカ代表を優勝に導く

引退後は、祖国ドミニカのウインターリーグで監督を務め、2度の優勝を経験。2001年にはカリビアンシリーズ優勝を果たしました。

2002年途中には、アストロズのコーチを経てカンザスシティ・ロイヤルズの監督に就任。2003年には戦力的に劣るチームを率いて前半戦を首位で折り返し、最終的に83勝79敗で3位となり、リーグ最優秀監督賞を受賞しました。しかし、2004年には104敗を喫して最下位に沈み、2005年5月に解任されました。

その後、ニューヨーク・ヤンキースの一塁コーチ（2005年）、ベンチコーチ（2008年）を歴任。2013年3月に開催された第3回WBCではドミニカ代表監督を務め、母国を優勝に導きました。2015年からは再びヤンキースの一塁コーチを務め、2017年開幕前の第4回WBCでもドミニカ共和国代表監督を務めました。

家族：メジャーリーガーを輩出

弟のラモン・ペーニャも元プロ野球選手（投手）であり、1989年にデトロイト・タイガースで8試合に登板しています。息子のトニー・ペーニャ・ジュニア（遊撃手）、フランシスコ・ペーニャ（捕手）もメジャーリーガーとして活躍しました。

プレースタイルと評価

アントニオ・ペーニャは、強肩と粘り強い打撃が持ち味の捕手でした。守備ではゴールドグラブ賞を4度受賞するなど、高い守備力を誇りました。また、打撃でも勝負強く、チームを勝利に導く一打を何度も放ちました。引退後は監督としても手腕を発揮し、カリビアンシリーズ優勝やWBCドミニカ代表優勝など、数々の実績を残しました。選手、監督として、ドミニカ野球界に大きな足跡を残した人物として評価されています。

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